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世界基金とは
三大感染症といわれるエイズ、結核、マラリアは、世界で年間約500万人の命を奪い、途上国の開発にとって重大な阻害要因となっています。世界エイズ・結核・マラリア対策基金(世界基金)外部ウェブサイトへは、途上国のこれら三疾病対策を支える資金を提供する機関として、2002年1月にスイスに設立されました。各国の政府や民間財団、企業など国際社会から大規模な資金を調達し、開発途上国が自ら行う三疾患の予防、治療、感染者支援のための事業に資金を提供しています。

2010年1月現在、世界基金に寄せられた寄付は約158億ドル(誓約ベースでは211億ドル)、その大半がG8諸国を中心とする各国政府の拠出金です。2002年の発足からこれまでに世界144カ国の702のプロジェクトに対して総額約147億ドルの契約が締結されています(支援承認額は約191億ドル)。世界基金が提供する資金は、開発途上国に対する国際的な結核対策支援資金の57%、マラリア対策支援の60%、エイズ対策支援の23%を占め、各国の感染症対策を支える重要な資金源となっており、これまでに490万人の命が救われたと推計されています。

世界基金は、スイスの法律に基づく財団であり、また、スイス政府から国際機関としての法人格も認められています。個人や企業の出捐による民間財団ではなく、また国連システム内に新たに作られた基金でもなく、官民パートナーシップによる新しいタイプの国際機関と位置づけられており、援助国だけではなく、援助を受け入れる国、企業や民間財団、先進国と途上国のNGO、感染症に苦しむ当事者のグループ、学界、国際機関など、多くの人々の協力のもとに運営されています。

2000年のG8九州沖縄サミットで、日本が感染症対策を主要課題とし、追加的資金調達の必要性についてG8諸国が確認したことが、世界基金設立の発端となりました。このことから、日本は世界基金の「生みの親」のひとつと称されています。




*以下は、世界基金、外務省等の資料をもとに(財)日本国際交流センターの責任において作成しています。
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設立経緯
2000年7月G8九州沖縄サミットにて、感染症対策の追加的資金を調達する必要性が提唱される
2001年4月ナイジェリアのアブジャで開かれたアフリカ・エイズサミットにて、コフィ・アナン事務総長による感染症対策基金の呼びかけ
5月ブッシュ大統領、米国政府による感染症対策基金への2億ドル拠出表明
6月国連エイズ特別総会にて世界エイズ保健基金の設立支持表明
その後、G8諸国による資金支援が相次いで決定 (日本は小泉首相訪米時に2億ドルの拠出表明)
7月G8ジェノバサミットにて、世界基金設立合意
その後、出資国、途上国、NGO、民間財団、国際機関等で構成されるワーキンググループで設立準備が進められる
2002年1月世界基金発足
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基本原則
世界基金は7つの基本原則に従って活動しています。

(1)事業を実施するのではなく、資金供与に徹する
世界基金の目的は、三大感染症のための資金を集め、管理し、支援に充てることにあります。自ら感染症の対策にあたるのではなく、事業の実施は現場の専門家の知見に委ねます。資金供与機関として保健・開発に携わる多国間及び2国間機関と緊密な連携をとり、新規支援事業と既存の事業との調整を図ります。

(2)追加的な資金の提供
世界基金の資金はあくまでも追加的なものであるべきであり、他のドナーからの資金が減ったり、既存の資金の代替となることがないよう万全の策をとっています。世界基金から資金を追加提供することで、さらに他のドナーから追加資金が得られるよう、また途上国の国内でも資金を調達できるよう、触媒の役目を果たすことを目指しています。こうした努力により、各国で進行中の既存の感染症対策をスケールアップさせたり、全く対策がとられていない領域で新規の事業を始めることができます。

(3)受益国の主体性の尊重
世界基金は、受益国が自らのニーズに基づき決めた事業方針を尊重しています。各受益国には、国内委員会として「国別調整メカニズム」(CCM)が組織され、世界基金に対する申請案件形成の調整や、基金の資金を得た事業の実施状況をモニターしています。このCCMには、政府だけでなく、NGOや感染者、企業の積極的な参加が求められており、受益国内で多様なパートナーの間の連携を促進する役割を果たしています。

(4)バランスのとれた支援方針
資金支援にあたっては、疾病の深刻度や感染症対策にあてる資金不足の程度といった必要性の高さを考慮して優先順位を決めています。また、将来の惨事を防ぐため、感染症流行の兆候が見られる地域にも支援をしています。その結果、すべての地域や疾病にまたがって、幅広いバランスの取れた支援が可能になっています。

(5)予防・治療のバランスのとれた統合的アプローチ
世界基金は、エイズ、結核、マラリアのいずれに対しても、現地のニーズに合わせて予防と治療の両面から包括的に支援を行います。エイズでは治療薬を提供する一方、若者の予防教育も支援、マラリアでは蚊帳の配布と医療関係者に対する研修を平行しておこないます。結核は特に、効果的な治療そのものが、二次感染を防ぐ有効な手立てとなっています。

(6)独立機関による申請案件の評価
世界基金に提出された申請は、独立した「技術審査パネル」(TRP)によって審査されます。TPRの審査を経ることで、限られた資金を、より専門性が高く成功する可能性が高い事業に配分することができます。TRPは、感染症・開発問題などの専門家からなり、申請された案件が、国レベルで進められる保健サービスの改善や貧困削減にどう寄与するかを評価します。

(7)簡便で迅速な支援と透明性の確保
世界基金では、“実績に基づく助成”というアプローチをとっていますが、実績を測定するための指標として、受益国と共同で決めたごく少ない数の指標を採用したり、煩雑な成果報告を求めず既存の報告書を活用するなど、説明責任と効率性のバランスがとれた現実的なシステムをつくっています。また説明責任を確保するため、受益国にある監査法人などが「現地監査機関」(LFA)という立場で事業の実施状況のチェックを行うようにしています。

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世界基金の仕組み
世界基金の資金は、途上国各国につくられる「国別調整メカニズム」(CCM: Country Coordinating Mechanism)から提出される申請書に基づいて提供されます。申請書は、独立した専門家の審査委員会による審査を経て、世界基金の理事会に諮られ、資金援助が決定されます。理事会には、拠出国だけではなく、途上国の代表やNGO、感染者組織、民間財団、企業の代表なども参加しています。事業の実施にあたっては、各国の保健省や国連機関、NGOなどが資金受け入れの責任をもち、個々のプロジェクトを実施する組織に資金が支払われ事業が行われます。資金管理や事業の実施状況をチェックする監査システムも設けられています。

(クリックで拡大)
世界基金の仕組み

出典:The Force for Change: The Global Fund at 30 Months

【理事会】

  • 世界基金全体の管理・運営方針の決定、助成案件の決定を行う最高意思決定機関。
  • 理事会は以下24名で構成されている。
    • 議決権のある理事20名
    • 途上国7、先進国8、民間企業1、民間財団1、途上国NGO代表1、先進国NGO代表1、感染者コミュニティの代表1
    • 議決権のない理事6名
    • 世界銀行、WHO、UNAIDSの代表、スイス代表、世界基金、UNITAID
  • 2009年7月現在、理事会議長はエチオピア保健大臣であるテデロス・アドノム氏、副議長はカナダ国際開発庁(CIDA)国際協力局保健教育部長のアーネスト・ルービンソン氏が務める。日本政府は単独議席をもつ理事国で、山本栄二外務省国際協力局参事官が理事を務めている。


【事務局】

  • 在ジュネーブ。資金調達、資金供与管理、実務的・法的支援の提供、理事会運営、広報等を行う。
  • 事務局の肥大化、官僚主義による審査プロセスの遅れを防ぐため、スタッフの数を最小限に抑える努力がなされている。ジュネーブ以外にはオフィスを置かず、職員数は約470名(2009年6月現在)である。
  • 事務局の経費や構成等詳細外部ウェブサイトへ
  • 事務局長は、ミッシェル・カザツキン氏(医師、前フランス政府グローバルエイズ・感染症問題担当大使)が務める。日本人職員も勤務している。初代事務局長はリチャード・フィーチャム博士(2002年-2007年4月)が務めた。
  • ミッシェル・カザツキン氏略歴
  • 「世界基金で働く」(採用関連情報・職員インタビュー掲載)


【技術審査委員会(TRP)】

  • 世界基金に提出された申請書を審査し、理事会に対して支援案件を推薦する独立機関。
  • 保健、開発の専門家約30名で構成されている。専門的な観点から各プロジェクトに期待できる効果を判断し、1)承認、2)条件付きで承認、3)再申請を勧告、4)却下に分類し、理事会に推薦する。


【国別調整メカニズム(CCM)】

  • 受益国内にある国内委員会で、世界基金に対する各国からの申請は原則としてこのCCMを通して提出される*。CCMでは、申請案件の形成や調整、基金の資金を得た後は事業の実施状況を監督する。
  • CCMのメンバー構成は、国によって異なるが、受益国政府関係者、受益国のNGO、感染者組織、政府開発援助機関、国際援助機関、企業など、多様なセクターの参加が強く求められている。
  • 申請案件の形成にあたっては、多様なセクターの意見が反映されるよう強く奨励されている。
  • * 世界基金は、地域単位のプロジェクトや、政府が機能していない国、紛争、災害、複雑な緊急事態に陥っている国、政府がシビル・ソサエティやNGOを抑圧しているような国においては、条件付きで、CCMを通さず直接世界基金事務局に申請書を提出することを認めている。(申請ガイドラインより)


【資金受入責任機関(PR)】

  • 世界基金の資金の受領者として一義的な法的責任を負う組織。供与される資金の適正管理や事業の遂行に責任を負う。その国の複数の実施機関によって事業が行われる場合、世界基金の資金は、PRを通してこれらの実施機関である資金受領機関(Sub Recipient:SR)に支給される。
  • PRの具体的な責務は、SRを監督し事業全体の進捗状況を国別調整メカニズム(CCM)に報告することである。また、基金事務局との間で契約を締結し、その中で定められた一定期間に達成すべき成果と事業の進捗状況を照らし合わせた上で、さらなる資金の支払いを世界基金に要請するのもPRの役目である。
  • PRとなる組織は、案件ごとにCCMの推薦によって決定される。保健省や国家エイズ委員会など政府機関がPRとなることが多いものの、NGOや宗教組織が担う場合もあり、国ごとに多様である。また、1つの国に複数のPRが置かれ、PRのうちの1つが政府機関、別のPRがNGOといった場合も多い。


【現地監査機関(LFA)】

  • 資金受入責任機関(PR)の財務や事業の監査をする組織で、多くの場合、監査法人がLFAの任にあたる。
  • PRから提出される定期的な支払要請、事業報告、財務報告を監査し、世界基金に対して、資金の移転やその他の取るべき措置について助言を行う。


【技術評価委員会】

  • 世界基金全体の効率性・効果性を評価する独立した委員会。事務局運営や資金提供事業の実績、協力機関とのパートナーシップ、感染症対策における世界基金のインパクトに関する評価を行い、理事会への提言・アドバイスを行っている。
  • 委員は実務家、研究機関・学術界の専門家、NGO、政府代表など幅広い関係者から選出されており、日本からは青山温子氏(名古屋大学大学院医学系研究科国際保健医療学教授)が委員を務めている。

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