お知らせ
日本国際交流センター(JCIE)が幹事・事務局を務める「グローバルヘルスと人間の安全保障」運営委員会の部会である「アジア医薬品・医療機器規制調和推進」タスクフォースでは、この度、以下の報告書を取りまとめました。
・UHC推進の観点からのアジア医薬品・医療機器規制調和グランドデザイン
・A UHC Approach to Harmonizing Asian Pharmaceutical and Medical Device Regulations
本タスクフォースは、アジアにおける医薬品・医療機器等へのアクセス向上に向けた規制調和のあり方を検討する目的で、2018年12月に産学官の代表者を中心とし設置され、2019年3月に検討結果をまとめた提言「アジア医薬品・医療機器規制調和グランドデザイン策定への提言:アジアの規制調和を推進する”四輪駆動”アプローチ」を発表しました。同年6月20日には「アジア医薬品・医療機器規制調和グランドデザイン」(健康・医療戦略室推進本部決定)が策定されています。
以降、本タスクフォースでは、同グランドデザインの具体化を後押しすることを目的に、関係組織の取り組み状況を確認し、また治験体制・臨床研究体制の整備について、感染症並びに非感染症に関するワーキンググループを組織し、両疾病領域ごとの具体的な施策を検討すべく、提言のフォローアップ活動を行って参りました。
本報告書では、グランドデザインにおいて示された規制調和の推進と臨床開発体制の整備について、今後日本が取り組むべき具体的事項を取りまとめました。臨床開発体制については、産業界のニーズが高く、国際共同医師主導治験の実績もあるがん領域と、アジアにおいて依然疾病負荷の高い感染症領域をモデルケースとして取り上げています。今後、高齢化が進むアジア諸国においては疾病構造の変化により、がんや循環器疾患、認知症などといった非感染疾病の増加が想定されます。感染症領域では、今般の新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の拡大のように不顕性感染を含む新興感染症への対応の重要性も改めて認識されました。地域内の規制調和と臨床開発体制の整備を通じ各国の保健サービスと医薬品・ワクチンへのアクセスを向上させることは、アジア諸国におけるユニバーサル・ヘルス・カバレッジ(UHC)の達成に資するものであり、ひいてはアジア諸国の国民の健康増進が進展することが期待されます。
なお、本提言を踏まえ、自由民主党でも「『アジア医薬品・医療機器規制調和推進に向けた提言』実行戦略~ユニバーサル・ヘルス・カバレッジ推進の観点から~」が取りまとめられ、5月19日に党の正式な提言として了承されました。