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プロジェクト概要

 渋沢財団・三菱財団による助成のもと、2005年2月から2007年9月の二年半にわたって実施。本プロジェクトは、地域で活動する実践者による議論を通して外国人の受入の現状と課題について理解を深め、外国人の受入れが新たな活性化の糧へと変化するための方策・外国人がその能力を活かし活躍できる社会を実現するためのしくみのあり方について検討し提言を行うことを目的として実施された。
 実施にあたっては、地域社会に焦点を定め、多文化共生の活動に中心的な役割を果たしているNPOの代表者6名からなる研究委員会を結成。実践者を研究委員とすることで、より現場で起こっている現実に即した議論を行うことを目指した。また、研究会を各地域で開催することで、現場での状況を詳しく理解するとともに、研究委員同士のネットワーク構築と情報の共有を図った。
 2005年2月以降、4カ月に一回のペースで研究会を開催し、メンバー及び開催地の関係者を交えて検討を重ねた。その後、報告書の執筆にあたり『「多文化パワー」社会』を2007年9月に出版。
プロジェクト最後には実務者・有識者による少人数での報告会と公開セミナー「多文化パワー社会の実現をめざして」を開催した。公開セミナーには約60名の実務者・研究者・自治体職員等の参加を得て、これまでの成果を共有するとともに提言を行い、有意義な意見交換がなされた。(2007年9月30日終了)

プロジェクト背景

 2006年末の在留外国人の総数は208万人と過去最高となり、総人口の1.63%に達した。日本に定住し始めた外国人は地域によってはコミュニティの中の不可欠な存在となりつつあるが、単一民族的な意識の強い日本社会において、多くの地域では日本人が外国人をスムーズに受け入れているとは言い難い現状がある。
 政府レベル以外にも、ここ数年の間に外国人支援や受け入れのあり方に関して、学会、弁護士会、NGO、企業関係者などからさまざまな提言がなされている。しかしながら、そうした多くの提言や議論においてしばしば欠けているのは、外国人を受け入れる側の日本人の意識の変革をどのように導くかについてであり、また外国人を単に受け入れるだけではなく、いかに個々の地域社会、さらには日本の発展に共に歩むかについての議論である。
 日本の多文化社会への移行は、外国人のための行政による取り組みだけによってのみ実現するものではない。現実にグラスルーツのレベルでは多様な活動が行われており、その中には在住外国人に対するさまざまなサービスの提供を行うだけではなく、彼らを地域の新しいリソースとして積極的に捉え、彼らの持つ経験やノウハウを活用した地域作りを行う事例も散見される。多文化社会になることで地域社会がより活性化していくためには、グラスルーツで活動する実践者の役割が重要であり、実践者の視点からめざすべき豊かな多文化社会像について議論し、その実現に向けての方策を構想することが極めて重要である。

研究員リスト(2005年2月〜2007年9月)

  • 【山形県鶴岡市】 山口考子、庄内国際交流協会副会長
  • 【群馬県大泉町】 高野祥子、NPO法人大泉國際教育技術普及センター理事長
  • 【東京都】 王慧槿、NPO法人多文化共生センター東京代表
  • 【静岡県浜松市】 石塚良明/石原昌明、浜松国際交流協会事務局長
  • 【奈良市】 仲川順子、ならNPOプラザ代表
  • 【神戸市】 吉富志津代、NPO法人多言語センターFACIL理事長
  • 【アドバイザー】 鈴木江理子、立教大学兼任講師
  • 【研究主幹】 毛受敏浩、日本国際交流センター チーフ・プログラム・オフィサー

  • 【事務局】
  • 森田慈子、日本国際交流センター プログラム・オフィサー
  • 長谷川浩美、日本国際交流センター プログラム・アシスタント

実施プロセス

研究委員会日程

  • 第一回研究会2004年2月23日(水)-24日(木)
  • 於 日本国際交流センター1階会議室
  • 2月23日(水) 14:00-18:00
  • 開会挨拶および本事業の説明
  • 会議参加者の紹介
  • 研究委員による自己紹介および活動紹介
  • 2月24日(木) 09:30-12:00
  • 「草の根の国際交流活動の変遷と多文化共生」 毛受敏浩
  • 「多文化社会構築にむけての現状と課題」 鈴木江理子
  • ディスカッション
  • 次回会合の予定、連絡事項等
  • 第二回研究会 2005年6月21日(火)-22日(水)
  • 於 山形県鶴岡市
  • 6月21日(火) 14:00-18:00
    <グランドエル・サン「カトレア」>
    開会、参加者自己紹介
    発表「山形県における多文化共生の現状と課題」
        芳賀欣一、戸沢村国際交流協会会長
        山口考子、庄内国際交流協会副会長
    質疑応答
    セッションI「多文化共生を巡る日本人の意識と地域社会の課題1」

    6月22日(水) 09:00-15:30
    セッションII「多文化共生を巡る日本人の意識と地域社会の課題2」
                   <洋風旅館 花門 レストラン「いまり」>
    羽黒山、「うめちゃんキムチ本舗」工場、出羽庄内国際村・アマゾン民族館見学
  • 第三回研究会 2005年10月2日(日)-3日(月)
  • 於 群馬県大泉町
  • 10月2日(日) 14:00-18:00
    <大泉町文化むら1階「第2研修室」>
    開会、参加者自己紹介等
    発表「群馬県における多文化共生の現状と課題」
        岡田輝美、大泉町役場国際政策課課長
        Nilta dos Santos Dias、教育心理学者;太田市日本語指導助手
        高野祥子、NPO大泉國際教育技術普及センター理事長
    質疑応答
    セッションT「多文化共生社会コーディネーターの役割と課題1」
    セッションU「多文化共生社会コーディネーターの役割と課題2」

    10月3日(月) 09:00-14:30
    セッションV「多文化共生社会コーディネーターの役割と課題3」
                   <太田グランドホテル2階「橘」>
    太田ピタゴラス校、日伯学園見学
    セッションW「多文化共生社会コーディネーターの役割と課題4」
                   <ブラジルレストラン>
  • 第四回研究会 2006年2月23日(木)-24日(金)
  • 於 兵庫県神戸市
  • 2月23日(木)14:00-18:30
    発表「神戸市における多文化共生の現状と課題」
    吉富志津代、多言語センターFACIL代表  <神戸倶楽部>
    質疑応答
    関西ブラジル人コミュニティ事務所・移民資料室見学  <旧神戸移住センター>
    セッションI「神戸市におけるブラジル人コミュニティの現状と課題」
    松原マリナ、関西ブラジル人コミュニティ代表
    質疑応答

    2月24日(金)09:30-14:30
    たかとりコミュニティセンター訪問
    セッションII「活力ある多文化社会構築のための担い手の役割」
           <地域ふれあいセンター1階会議室>
    セッションIII「総括:報告書と提言内容」  <たかとりコミュニティセンター>

浜松中間報告セミナー

2007年3月4日、浜松市国際交流センターにおいて「多文化をパワーに変える」浜松セミナーを開催した。このセミナーでは「社会に活力を与える多文化社会構築プロジェクト」の研究成果の中間報告として、研究者が発表とパネルディスカッションで議論を行い、それに対して市民からの質疑を受ける形式で行った。会議では増加する外国人の潜在力を一層発揮させるための活動や市民団体の役割が議論され、北脇浜松市長からも本研究のテーマの重要性についての指摘があった。

プログラム

14:00-14:30 オープニング
  あいさつ 北脇保之、浜松市長
  「社会に活力を与える多文化社会構築プロジェクト」の概要とそのアプローチ  
  毛受敏浩、日本国際交流センターチーフ・プログラム・オフィサー、静岡文化芸術大学講師

14:30-15:15 研究報告「多文化をパワーに変えるために必要なこと」
  鈴木江理子、現代文化研究所研究員、立教大学講師

  15:30-17:00 パネルディスカッション
    「心の壁」を超えるしくみと取り組み
    外国人住民の存在を力にするためのしくみと取り組み等
    司会: 毛受敏浩
    パネリスト:
      石原昌明、浜松国際交流協会事務局長
      鈴木江理子、現代文化研究所研究員
      仲川順子、ならNPOプラザ代表(奈良市)
      吉富志津代、多言語センターFACIL理事長(神戸市)

報告書『「多文化パワー」社会−多文化共生を超えて−』

本プロジェクトの報告書として、2007年9月、『「多文化パワー」社会―多文化共生を超えて―』を出版。プロジェクトに参加した全国のNPOの代表者5名(山形、群馬、東京、奈良、兵庫)がそれぞれの地域で行われている取り組みの成功例を紹介し、日本人と外国人が共に社会を活性化するための課題と道筋を明らかにしている。詳細、購入方法についてはこちら

社会に活力を与える多文化社会構築プロジェクト最終報告会−「多文化パワー社会の実現をめざして」

2007年9月19日、日本国際交流センターにおいて、本プロジェクトを終了するにあたり、10数名の専門家による最終報告会を開催した。報告会には学者、政府・メディア・企業関係者等が参加した。研究委員の現場からの提言を受け、活発な議論が行われた。

プログラム

14:00-14:15 プロジェクトの概要説明
  毛受敏浩、日本国際交流センターチーフ・プログラム・オフィサー

14:15-15:30 「多文化化する日本の現在−外国人『問題』への『対応』」
  鈴木江理子、立教大学兼任講師
  山口考子、庄内国際交流協会副会長(山形県鶴岡市)
  高野祥子、NPO法人大泉國際教育技術普及センター理事長(群馬県大泉町)
  王慧槿、NPO法人多文化共生センター東京代表(東京都)

15:45-17:00 多文化パワー社会への提言と地域の視点
  毛受敏浩、日本国際交流センターチーフ・プログラム・オフィサー
  仲川順子、ならNPOプラザ代表(奈良市)
  吉富志津代、NPO法人多言語センターFACIL理事長(神戸市)

公開セミナー「多文化パワー社会の実現をめざして−多文化共生を超えて−」

2007年9月20日、国際交流基金国際会議場にて、報告書として出版された『「多文化パワー」社会−多文化共生を超えて−』の出版記念を兼ね、公開セミナーを開催した。セミナーではこれまでの研究成果のもと提言を発表し、会場の参加者と意見交換を行った。

プログラム

13:30-14:00 プロジェクトの概要と提言のまとめ
  毛受敏浩、日本国際交流センターチーフ・プログラム・オフィサー

14:00-16:00 パネルディスカッション「多文化パワーが発揮できる社会条件とは」
  モデレーター:鈴木江理子、立教大学兼任講師
  パネリスト:
    山口考子、庄内国際交流協会副会長(山形県鶴岡市)
    高野祥子、NPO法人大泉國際教育技術普及センター理事長(群馬県大泉町)
    王慧槿、NPO法人多文化共生センター東京代表(東京都)
    吉富志津代、NPO法人多言語センターFACIL理事長(神戸市)
    毛受敏浩、日本国際交流センターチーフ・プログラム・オフィサー