2007年12月から2008年1月末日まで、対象となる分野の専門家および各地域の関係諸団体に対して、本賞にふさわしい団体の推薦を依頼し、過去に十分な実績がある組織のうち、本賞の趣旨にかなう組織に対して、日本国際交流センターから自薦をお願いしました。
伝統文化大賞については21団体、伝統文化振興賞については33団体の推薦をいただきました。推薦を受けた団体について、事務局選考の後、当センターが委嘱する以下の3名の有識者による審査を経て、第1回ティファニー財団賞受賞団体を決定いたしました。
2008年6月26日木曜日に東京都内で開催された授賞式では、主催者挨拶の後、ティファニー・ジャパンのマイケル・クリスト社長、米国大使館ロナルド J. ポスト広報・文化交流担当公使からご挨拶をいただき、ティファニー財団プレジデントフェルナンダ・ケロッグ氏よりティファニー製トロフィーが、日本国際交流センター理事長山本正より200万円の賞金目録が受賞団体に授与されました。その後、伝統文化大賞、伝統文化振興賞の順に受賞団体の代表者によるスピーチが行われ、選考委員会委員長の南條史生森美術館館長による講評では選考理由や賞の意義について述べられました。
![]() ティファニー財団プレジデント フェルナンダ・ケロッグ氏 |
![]() (財)日本国際交流センター 山本正理事長 |
![]() ティファニー・アンド・カンパニー・ジャパン・インク マイケル・クリスト社長 |
![]() 米国大使館広報・文化交流担当公使 ロナルド J. ポスト氏 |
ティファニー財団賞伝統文化大賞
美濃和紙あかりアート展実行委員会(岐阜県美濃市)
1300年の伝統を誇る日本有数の和紙の産地である岐阜県の美濃では、美濃和紙を地域の未来を拓くツールとしてとらえ、美濃和紙を使ったあかりのアート作品を全国から募集する美濃和紙あかりアート展を1994年から実施しています。
このアート展は屋内ではなく、重要伝統的建造物群保存地域に指定されている「うだつの上がる町並み」をその会場として、開催当日には夕暮れの中にそのアート作品が浮かび上がります。江戸時代からの情緒を残す町並みの中で美しく灯るあかりのオブジェは、美濃和紙の持つやわらかさや美しさを引き立たせ、美濃和紙の持つ多様な汎用性を引き出す役割を果たしています。
本事業は美濃の街づくりを考える市民の手によって行われ、美濃和紙と伝統的な町並みを最大限に活かしながら、新たな可能性を引き出そうとしている点が評価できます。また住民が一体となり、小学生から高校、大学生の若い世代が積極的にこの事業に参加していること、全国にあかりをテーマにしたイベントのネットワーク化を図ろうとしていることなど、さまざまな点で創意工夫が見られ、常に未来に向かって挑戦する姿勢が見られます。
ティファニー財団賞伝統文化振興賞
西塩子(にししおご)の回り舞台保存会(茨城県常陸大宮市)
茨城県の農村地域である常陸大宮市西塩子地区では、江戸時代から回り舞台を使った歌舞伎公演が行われてきましたが、1945年を最後に公演が途絶え、忘れ去られた存在となっていました。
1991年に町が行った調査で、保存されていた西塩子の回り舞台の組み立て資材が貴重な文化財であると判明したのをきっかけとして、西塩子地区全世帯が参加して、「西塩子の回り舞台保存会」を結成しました。そして一ヶ月にわたり資材と竹を使って20mもの幅の壮大な回り舞台を半世紀ぶりに完成させました。
その後、西塩子地区の住民は地芝居を行う「西若座」を結成し、3年に一度舞台の組立てと公演を行い、地元の小学生も含めて歌舞伎や舞踊を披露しています。
極めて小さな集落の住民たちが力をあわせて、壮大な回り舞台を復活させたことは驚くべきことであり、伝統文化の華やかさと共に、地域社会の活力の潜在力を再認識させる極めて意義のある事業といえます。
選考委員会委員 | |
田中優子 氏 | 法政大学教授 |
南條史生 氏 | 森美術館館長 【選考委員長】 |
日比野克彦 氏 | アーティスト、東京芸術大学教授 |
(50音順) |