グローバル化による人の移動の活発化に伴い、疾病の感染速度は高まり、そのインパクトは地球規模に拡大するようになってきた。こうした地球規模の課題としての保健問題に対しては、もはや一国では対応できず、外交課題として明確に位置づけ、国境を越えた人間の安全を保障するための国際的な連携と協調を推進することが求められる。その際、先進国には、途上国の対応能力を強化するための支援も求められる。

途上国の対応能力を強化するためには、単に保健という一分野への支援では不十分であり、教育や安全な水、ガバナンスといった他分野の課題をも視野に入れた包括的な支援が必要とされる。さらに、日本が外交方針として掲げてきた「人間の安全保障」という概念では、人々の自由の根源である健康を維持・増進するために、それぞれの状況に合った包括的な対策を、各国政府や住民自らが、国連機関や政府援助機関、非政府組織、企業といった多様なアクターとの連携を通じて講ずることを推進している。これにより、途上国政府および住民のオーナーシップに基づき、システムとしての保護と能力強化が効果的に機能するようになり、健康に対する脅威への持続的な対応力と予防力が高まると考えられる。先進国や国際社会には、こうした途上国の主体的な取り組みを後押しすることが求められる。

本プログラムでは、「国際保健の課題と日本の貢献」研究・対話プロジェクト(2007年9月〜2009年7月)の成果を踏まえ、人間の安全保障の視点に立った グローバル・ヘルスに対する日本の貢献を一層推進することを目指す。具体的には、以下の3つのテーマに沿ってプロジェクトを実施する予定である。なお、「国際保健の課題と日本の貢献」研究会は、本プログラム運営委員会として改編された。

  1. 日本の知見に基づく対外戦略の策定
  2. グローバル・ヘルスをめぐる国際対話の推進
  3. 保健に対する人間の安全保障アプローチの普及
運営委員

2012年1月現在

委員長:武見 敬三
(五十音順)
池上 直己慶應義塾大学医学部医療政策・管理学教授
石井 澄江(公財)ジョイセフ常任理事・事務局長
石井 正三日本医師会常任理事
尾身  茂自治医科大学地域医療学センター公衆衛生学部門教授、名誉世界保健機関(WHO)西太平洋地域事務局長
勝間  靖早稲田大学国際学術院教授、グローバル・ヘルス研究所 所長
桐野 高明(独)国立国際医療研究センター理事長
黒川  清政策研究大学院大学教授、日本医療政策機構代表理事
小寺  清(独)国際協力機構理事
笹川 陽平日本財団会長
渋谷 健司東京大学大学院国際保健政策学教授
神馬 征峰東京大学大学院国際地域保健学教授
高須 幸雄国連事務総長特別顧問(人間の安全保障担当)、外務省参与
内藤 晴夫エーザイ株式会社代表執行役社長 兼 最高経営責任者(CEO)
中村 安秀大阪大学大学院人間科学研究科教授
野木森 雅郁アステラス製薬株式会社代表取締役会長、国際製薬団体連合会(IFPMA)副会長
林  謙治国立保健医療科学院院長
平松 賢治外務省地球規模課題審議官(大使)
麦谷 眞里厚生労働省大臣官房審議官(がん対策、国際保健、医政担当)
門間 大吉財務省国際局審議官
薬師寺 泰蔵(公財)世界平和研究所研究顧問、科学技術振興機構地球規模課題対応国際科学技術協力事業運営統括
山本  正(公財)日本国際交流センター理事長 [幹事]
吉田 大輔文部科学省研究振興局長
本研究会/プログラムに言及している文献
関連の動き