2011年4月1日、日本は国民皆保険達成から50周年を迎えた。この50年を振り返り、今後の望ましい方向性を提示すると共に、これまでの経験を諸外国と共有することを目的に、9月1日、『ランセット』日本特集号「国民皆保険達成から50年」が刊行された。

(公財)日本国際交流センターと世界的医学雑誌『ランセット』は、本特集号刊行を記念して以下の通り、シンポジウム「医療構造改革の課題と展望―3月11日の大災害を超えて」を開催した。本セミナーには、前原誠司民主党政策調査会長、古川元久衆議院議員(現 国家戦略・経済財政担当大臣)を含む国会議員、地方議員、原中勝征日本医師会会長を含む医療従事者、学者、行政官、大使館関係者、企業関係者、NGO/NPO関係者、ジャーナリスト、学生など330名に及ぶ方々に参加いただいた。

日本は、地域における健康を改善するための官民の連携、減塩運動のような公衆衛生アプローチ、さらに国民皆保険制度の下での降圧剤の処方などの医療サービスへのアクセスの保障などを通じて、世界一の長寿を達成し、また社会の様々な変化に合わせ漸進的に改革を進め、低価格で高品質な医療及び公平な提供体制を維持してきた。本シンポジウムでは、そうした経験を世界と共有すると共に、今回の災害によって一層顕在化した、医師・病院不足、施設に偏重した介護、医療に関わる国と都道府県、市町村の権限のあり方、専門医に偏重した医師養成のあり方等、抜本的改革を必要とする諸課題を明らかにし、改めて公平と連帯の原則に立った、医療体制の構造改革の方向性について議論がなされた。さらにこうした経験や教訓に基づき、健康な世界の実現に向けて日本が果たすべき役割についても議論された。


*USTREAM中継実施*
本シンポジウムの模様はインターネットでライブ中継された。(現在も閲覧可能)

プログラム
9:30-10:05
開会セッション
モデレーター:山本 正(公財)日本国際交流センター理事長
開会挨拶
リチャード・ホートン 『ランセット』編集長[英国]
問題提起
リンカーン・チェン 米国中華医学基金会理事長[米国]
武見 敬三(公財)日本国際交流センターシニア・フェロー
10:05-10:45  
セッション 1: 震災から見えた日本の保健医療体制の強みと弱み
モデレーター:武見 敬三
報告:
渋谷 健司 東京大学大学院医学系研究科国際保健政策学教授
コメント:
田中 秀一 読売新聞東京本社編集局医療情報部部長
マイケル・ライシュ ハーバード大学公衆衛生大学院国際保健政策武見太郎記念講座教授[米国]
10:45-11:00休憩
11:00-12:30
セッション 2:日本の保健医療体制の構造的な課題
モデレーター:マイケル・ライシュ
プレゼンテーション:
    医療の提供体制
橋本 英樹 東京大学大学院医学系研究科臨床疫学・経済学教授
    高齢者医療と介護
田宮 菜奈子 筑波大学大学院ヒューマン・ケア科学専攻ヘルスサービスリサーチ分野教授
    危機に立つ皆保険体制
池上 直己 慶應義塾大学医学部医療政策・管理学教授
    コメント:
ハーベイ・ファインバーグ 米国医学研究所(IOM)理事長
スウィット・ウィブルポルプラサート タイ公衆衛生省疾病対策上級顧問
質疑応答
12:30-14:00休憩
14:00-15:30
セッション 3: 将来のための改革―公平・効率・持続性をいかに維持するか
モデレーター:渡辺 俊介 東京女子医科大学医学部教授、元日本経済新聞論説委員
プレゼンテーション:
池上 直己 慶應義塾大学医学部医療政策・管理学教室教授
コメント:
ボン・ミン・ヤン ソウル国立大学公衆衛生大学院経済学教授、同大学院保健環境研究所事務局長[韓国]
山田 啓二 京都府知事、全国知事会会長
尾身 茂 自治医科大学地域医療学センター公衆衛生学部門教授
質疑応答
15:30-15:45休憩
15:45-17:30
セッション 4: 世界への貢献―人間の安全保障に基づく健康社会を創出するために
モデレーター: リチャード・ホートン
プレゼンテーション:
渋谷 健司
コメント:
スーディア・アナンド オックスフォード大学経済学教授、ハーバード大学医学部訪問教授[英国]
ジョー・クッツィン 世界保健機関(WHO)保健財政政策コーディネーター
アーミン・フィドラー 世界銀行人間開発ネットワーク保健・栄養・人口局保健政策・戦略担当首席顧問
質疑応答
総括コメント
Y. S. チ リード・エルゼヴィア株式会社経営委員長
ウィリアム・サマースキル ランセット誌編集主幹[英国]
武見 敬三