本プログラムは、ユニバーサル・ヘルス・カバレッジ(UHC)(注)を実現し、維持していくためのあらゆるアプローチについて、保健財政と保健人材(サービス提供)の両面から包括的に検討することを目的に、2012年1月に開始した事業である。 日本を中心に中・低所得国(低中所得国9カ国(バングラデシュ、ブラジル、エチオピア、ガーナ、インドネシア、ペルー、タイ、トルコ、ベトナム)及び フランスにおいて事例研究が進められ、当センターは日本事例研究と日本で実施される諸会合の事務局を担った。なお本プログラムの運営方針は、武見敬三JCIEシニア・フェロー、世界銀行グループ人間開発局局長を共同議長とするプログラム調整委員会によって決定されている。

 
研究成果は「包括的で持続的な発展のためのユニバーサル・ヘルス・カバレッジ:11カ国研究の総括」 および 「包括的で持続的な発展のためのユニバーサル・ヘルス・カバレッジ―日本からの教訓」としてまとめられ、書籍が当センターより発行されている。

また2014年10月9日世界銀行本部にて、出版記念イベントが開催された。11月10日には、東京にて出版記念シンポジウムが行われた。


本プログラムでの活動・成果

2012年1月24日には、マヒドン皇太子賞会議(PMAC)のサイド・イベントとして「UHC実現に向けた課題と機会」に関するセミナーを世界銀行と国際協力機構(JICA)と共催で実施し、ランセット日本特集号「国民皆保険達成から50年」に基づく日本の経験を共有すると共に、本共同研究プログラムの研究計画について参加者と意見を交わした。さらに、翌日には本プログラム関係者によるワークショップを開催し、前日のセミナーで出された意見を踏まえて、研究計画についての議論を深めた。

その後、日本研究については下記の研究チームが組織され、財政余地の管理、診療報酬改定による費用抑制効果と人材配置への影響、国立病院改革を主なテーマとする事例研究が進められている。8月31日には国際諮問グループのメンバーの参加を得て日本事例研究の中間報告に基づく国際ワークショップを開催し、さらに10月10日には、48年ぶりに日本で開催されたIMF・世界銀行年次総会のサイド・イベントとして、当センター、世銀、財務省の共催により、研究対象国の中・低所得国の研究者・実務家の参加も得てラウンドテーブルが実施された。翌10月11日には総会公式セミナーとして「保健への投資の意義、再び!」、「UHC:機会と教訓」に関する2つのセッションが世銀、財務省によって組織され、その模様は下記より動画配信されている。

セッション1:保健への投資の意義、再び! 【冒頭発言】 田中明彦(JICA理事長)
【パネリスト】 マリア・キワヌカ(ウガンダ財務大臣)、クリストファー・マレー (ワシントン大学教授)、内藤晴夫(エーザイ株式会社代表執行役社長)、サニア・ニシュタル(ハートファイル代表)
【モデレーター】 アンドリュー・ジャック(英フィナンシャル・タイムズ 記者)
セッション2:UHC−機会と教訓 【冒頭発言】 武見敬三((公財)日本国際交流センターシニア・フェロー、東海大学教授)
【パネリスト】 ニーシャ・アグラワル(オックスファム・インドCEO)、マーガレット・チャン(世界保健機関(WHO)事務局長)、マルタン・イルシュ(フランス市民サービス庁長官)、武見敬三
【モデレーター】 リチャード・ホートン(英ランセット誌 編集長)

また、11月2日には、北京で開催された第2回保健システム研究グローバル・シンポジウムにおいて、本研究の中間報告が発表された。さらに、同日には国際諮問グループとの会合を設けた。2013年7月9日には、シドニーで開催された第9回国際医療経済学会において、タイ公衆衛生省とともに、研究成果を発表した。

本プログラムのグローバル総括報告書の完成を受け、12月5-6日に東京で国際会議(テクニカル・ラウンドテーブル及び閣僚級会合)が開催され、各国の経験が共有された。また、12月9-17日に、世界銀行、日本政府(外務省、財務省、厚生労働省)、(独)国際協力機構とUHCをテーマとする研修「WBIフラッグシップ・コース」を共催した。

(注)UHCとは「すべての人が適切な予防、治療、リハビリなどの保健医療サービスを、必要な時に支払い可能な費用で受けられる状態」(WHOによる定義)

日本研究チーム
池上 直己慶應義塾大学医学部医療政策・管理学教室教授【主査】
小塩 隆士一橋大学経済研究所教授
ジョン・キャンベル 東京大学高齢社会総合研究機構訪問教授、ミシガン大学政治学部名誉教授
高木 安雄慶應義塾大学大学院健康マネジメント研究科教授
高久 玲音一般財団法人 医療経済研究機構主任研究員
田川 洋平(株)川原経営総合センター・税理士法人 川原経営事業推進企画室コンサルタント
角田 由佳山口大学大学院東アジア研究科准教授
西村 周三一般財団法人 医療経済研究機構所長
別所 俊一郎慶應義塾大学経済学部・大学院経済学研究科准教授
日本研究国際アドバイザー
ジョン・キャンベル 東京大学高齢社会総合研究機構訪問教授、ミシガン大学政治学部名誉教授
マイケル・ライシュハーバード大学公衆衛生大学院国際保健政策武見太郎教授
中・低所得国保健人材研究アドバイザー
神馬 征峰             東京大学大学院医学系研究科国際地域保健学教授