自然災害は、アジアの人々を苦しめてきた。近年でもスマトラ沖大地震及びインド洋津波被害(2004年)、中国四川省における大地震(2008年)、そして東日本大震災(2011年)に代表される災害によって、多くの犠牲が生み出されてしまった。

これらの経験を振り返るとき、我々は政府・自治体だけではなく民間のNGOやボランティアの活躍に、またシビリアン(文民)に加えて軍人や自衛官の貢献に気づく。発災直後から復興に至るまで、官民が手を携える形で多くのプロジェクトが実施された。また特に初期段階において、軍事アセットが活用されることで多くの人命が救われ、被災者に大量の物資が届けられた。

自然災害とは人類が制御できる可能性が極めて低い領域であり、アジア、そして世界は今後も災害のリスクとの共存を図るしかない。しかし、それゆえにこそ、平素からの自然災害への備えは重要であり、国内の危機管理能力の向上に加え、災害救援のための民軍協力のあり方、同盟国及び地域諸国との軍事面を含む協力を推進していくための方策を検討しておくべきであろう。

本プロジェクトは、公益財団法人笹川平和財団、国際交流基金日米センターからの助成を得た全米アジア研究所(National Bureau of Asian Research)のカウンターパートとして、運営するものである。2013年度より2年間のプロジェクトとして実施し、ワシントン、東南アジア、および東京に専門家を広く招聘しての国際会議を開き、2015年6月30日には、政策提言を英語、日本語で発表した。最終報告書では、高い災害対応能力を有する日本と米国が、人道支援・災害救援(HA/DR)活動を両国の安全保障戦略の重要な柱として位置づけ、特に大規模自然災害の多いアジアにおいて、両国の多様なアクターの参画を得ながら、財政的制約、被災国の主権、そして国際政治への影響に十分配慮しながら、「レジリエンス(復元力)」、「レスポンス(対応能力)」、「リカバリー(回復力)」を高める「戦略的支援」を推進することを提案している。

  
研究活動

会合

報告書・発表

研究体制
シニア・アドバイザー
Thomas Fargo  全米アジア研究所John M. Shalikashviliチェア、元太平洋軍司令(海軍大将)
山口 昇防衛大学校安全保障・危機管理教育センター教授、元陸将
共同主査
Abe Denmark全米アジア研究所副理事長(政策研究)
佐橋 亮神奈川大学法学部准教授、スタンフォード大学アジア太平洋研究センター客員准教授、日本国際交流センター リサーチフェロー
研究協力者
古賀 慶南洋工科大学助教授