活動報告

2017年2月22日、日本国際交流センター(JCIE)は、ドイツのフリードリヒ・エーベルト財団との共催、ベルリン日独センターの後援で、日独国際シンポジウム「人口動態の変化とグローバルな人の移動-求められる政策的対応とは?」を東京で開催しました。

 

本シンポジウムは、反難民・移民の世界的な風潮の高まりのなか、「人口動態の変化」と「グローバルな人の移動」という2つの大きな課題を抱える日独が、この課題にどう向きあい、どう取り組むべきか、日独に求められる政策的対応について話し合うことを目的として行われたものです。 シンポジウムには、政界・官界・経済界・学界・NGO/NPO等より150名近くの方が参加し、シンポジウムの様子はメディアでも取り上げられました。概要は以下のとおりです。


 

セッション1:日独政治家による基調講演

第1部では、ロルフ・ミュッツエニヒドイツ連邦議会議員、自由自民党の河野太郎衆議院議員、民進党の中川正春衆議院議員、日独の3人の政治家による基調講演が行われた。

 

ミュッツエニヒ議員は、世界的な難民危機の中、2015年の90万人に及ぶ難民受け入れをめぐるドイツ市民による協力・支援をはじめとするドイツの社会・政治的対応による成果と課題、ドイツにおける移民受け入れの経験と課題解決に向けた新たな移民法制定の必要性について述べた。

 

河野議員は、外国人技能実習制度や、日系人等、日本における外国人の受け入れが多くの問題を露呈していることを指摘し、新たな制度枠組みを模索するとともに、外国にルーツをもつ多様な人材がより活躍するための支援が必要性であると強調した。

 

中川議員は、日本がグローバルかつダイナミックな人の移動に対応できているかについて問題提起した上で、専門的人材に止まらず、難民・非熟練分野の受け入れを含む包括的な移民基本法の制定や、外国人のための日本語教育の体制作りを提案した。

 

セッション2:パネルディスカッション「外国人政策―政治社会的視点から」

「外国人政策―政治社会的視点から」と題した第2部は、日独における外国人、移民政策のマクロな側面に焦点をあて、経済ジャーナリストの磯山友幸氏のモデレーターによって、パネルディスカッション形式で行われた。

 

最初に、ドイツ連邦移民難民庁のカトリン・ヒルゼラント総合政策企画局長補佐より、ドイツにおける移民と難民の受け入れの現状と、統合コースの設置をはじめとするドイツ政府による移民・難民の社会統合のための取り組みが報告された。

 

基調講演とドイツの報告を受け、日経新聞の実哲也論説副委員長は、移民を巡る今後のあり方について国民的議論が必要であり、健全な議論を可能とするファット(事実)に基づいた現実を伝えることがメディアの役割であると強調した。

 

日独の登壇者らは、移民政策を巡る政府レベルの対応と国民的議論が必要性であるとの認識を共有した上で、移民の受け入れと統合を巡る政府レベルの現状認識と課題、その課題解決を巡って見られる新たな動きとともに、ドイツの経験から見えてくるもの等について議論を展開した。

 

セッション3:パネルディスカッション「外国人の社会統合-地域・労働市場の視点から」

 

 

第3部では、「外国人の社会統合-地域・労働市場の視点から」と題し、移民の社会統合において重要な2つの側面、すなわち、「生活者としての地域社会への統合」と、「経済活動を中心とする労働市場への統合」について報告とパネルディスカッションを行った。

 

最初にドイツ側の報告として、ベルリン人口開発研究所のシュテファン・ジーヴェルト移民・労働市場部長が、ドイツにおける移民、難民の労働市場への統合プロセスを詳しく紹介するとともに、移民による経済的効果、社会的サービスの側面等の移民の労働市場統合を巡る現状と課題を報告した。

 

続いて、シュトラウビング市のマルクス・ヴィンマー社会サービス室長は、シュトラビング市の移民、難民の社会統合のための様々な取り組みを紹介したうえで、移民、難民の社会統合には行政、学校、企業、市民等様々なアクターの協力が欠かせないことを強調した。

 

ドイツ側の2人の報告を受けて、関西学院大学の志甫啓准教授と、当センターの執行理事の毛受敏浩より、日本の労働市場と地域レベルの取り組みについての発言が行われた。志甫准教授は、東京と地域における人口構造や、労働市場の危機感の違いや、日本では既に様々な形で外国人が労働市場に取り込まれていることを指摘した。毛受執行理事は、急速化する人口動態の変化により、経済に留まらず、社会、文化まで、その持続可能性が問われているとの問題提起をしたうえで、ドイツに比べて、日本では自治体レベルと中央レベルにおける多文化共生の取り組みのキャップが大きいことを指摘した。

 

日本側のパネリストの発言を受け、フリードリヒ・エーベルト財団のスヴェン・サーラ日本代表のモデレーターで、移民、難民の労働市場や社会への統合における市民レベルの活動の進展とその役割、外国にルーツを持つ子供のための家族、学校、地域社会の取り組みの重要性等について議論を行った。

 

シンポジウム報告書

 

 

 

 

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