活動報告

2020年は、1970年に日本国際交流センター(JCIE)が発足してから50周年にあたります。50周年記念事業の一環として、JCIEの活動の大きな柱であった日米関係民間会議(下田会議)日米議員交流プログラム等の日米関係政策対話や政治交流の50年史を当事者の立場から編纂し、2020年11月18日に「JCIE50年の日米政治・議会交流」として刊行しました。JCIEが実施してきた日米政治・議会交流は、複雑化していく日米関係を支え、発展させるうえで大きな役割を果たしてきました。COVID19後の世界で、米中対立など国際関係が不安定化していくことが指摘される中、日米関係の重要性は一層高まることが予想されています。
 
本書は「I.歴史編」、「II. 資料編」の2部で構成されており、歴史編の概要は以下の通りです(資料編は後日掲載)。なお、本プロジェクトは国際交流基金日米センターの助成を受けて実施したものです。

 

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目次

  1. はじめに・・・ 大河原 昭夫
  2. 日米関係の変遷と日本国際交流センターの政治・議会交流事業 ・・・勝又 英子
  3. 政治・議会交流を共に歩んだ米国の友人

     「日米議員交流を振り返って」・・・ジェラルド・L・カーティス 

   「日米議員交流プログラム:私的回想」・・・チャールス・モリソン

 

主な内容:

 

日米関係の変遷と日本国際交流センターの政治・議会交流事業

 

歴史的背景

JCIEは、第二次世界大戦の敗戦から新たな一歩を踏み出すための日本の財界の努力のなかから生まれた「国際親善日本委員会」を前身に1970年に生まれた組織です。正式発足前に実施していた「日米関係民間会議(下田会議)」および「日米議員交流プログラム」を継承し、初代理事長山本正のもとで活動の場を広げていきました。33歳の若さで立ち上げた組織は様々な困難に直面しましたが、その活動を支えたのは、日本において政府・企業とともに「国際的課題に対応する民間組織」が必要であるとの米国の財団(フォード財団、ロックフェラー兄弟基金等)の強い認識・支援を受けて、その基礎を築きました。

 

時代の変遷と政治・議会交流への道

前述の「国際親善日本委員会」は、戦後日本の共産化を恐れた経済界が自由世界の雄となったアメリカとの結びつきを強化することを意図したものですが、山本正は大学、大学院を米国で過ごし、キング牧師の公民権運動、ケネディ大統領の平和部隊など自由民主主義の風に触れ、日本でもその活動の実現を目指しました。多くの幸運と支援者、友人に恵まれJCIEとしての下田会議や議員交流活動がはじまり、1973年に開始した40歳以下の若手地方及び政党政治家による「日米青年政治指導者交流」はその新たな一歩を踏み出すものとなりました。当初、米国側は地方政治家で構成されましたが、日本側は地方政治家が国際交流に踏み出すのは困難で若手国会議員が参加しました。小渕恵三、羽田孜、細川護熙議員等の歴代総理もこの初期のプログラムの参加者です。1980年代、先進国の仲間入りを果たした日本に相互依存の波が押し寄せ貿易摩擦が米国との間に生じました。国会議員の訪米プログラムは、「日米議員交流」に、「日米青年政治指導者交流」には、県会議員、市議会議員、議員秘書、政党スタッフが参加する交流が1981年に開始されました。また、政党が独自に訪米ミッションを送るようになり、1975年江田三郎社会党副委員長を団長とする18年ぶりの訪米ミッションを手伝ったことは大きな話題となりました経済摩擦が深化する中、日本の事情を米国の政策に実質的に関与する連邦議会スタッフに理解してもらう必要があるということで、1982年、米国議会スタッフの1週間にわたる日本視察招聘プログラムを開始し、途中、9-11同時多発テロ事件や3-11東日本大震災等で抜けた年もありますが、2019年までに19回の訪日プログラムが開催されています。

 

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米国政治の地殻変動

1992年、1994年の米国の連邦議会選挙は、米国の政治地図に大きな変動をもたらしたといわれています。現職長老議員の多くが引退、落選する中で、新人議員の当選が相次ぎました。米国経済の衰退が進む中で、国際社会における米国の地位は相対的に後退、国内課題が優先となり、日本への関心は薄れ、ジャパン・バッシング-ジャパン・パッシング-ジャパン・ナッシングの変遷を辿るようになり、関心は他のアジア諸国、とりわけ中国へと移り、日米議員交流そのものが減少していきました。背景の一つには、特定の国による接待攻勢を排除するための倫理コードが強化されたことにより、議員、スタッフ共に交流プログラムへの参加が難しくなったことがあげられます。併せて、経済不況、国家財政の緊縮により交流の資金が枯渇していったこともその要因の一つと考えられます。

 

政治・議会交流の新しい動き

昨今、一時減少していた交流プログラムも、中国の一人勝ち、中東問題が落ち着いてきた等の要因もあり、米国の関心も徐々に日本に戻ってきつつあります。それに伴い、笹川平和財団等の支援により、米国の団体が主催するいくつかの議会交流が行われ、日本でも議会・政府関係者の参加よる「富士山会合」も実施されるようになりました。JCIEもより深い政策対話が行われることを目指し、「政治のリーダーシップ」、「国際保健への貢献」、「政治とNGO の協力」、「女性政治家の国際課題への取組」、「民主主義の未来」等のテーマにより国会議員訪米プログラムを組み、活発な議論が展開されています。JCIEでは政治議会交流を下支えする活動として、日米交流に関する実態調査、また、米国の研究者との共同研究を実施してきました。分断された米国におけるトランプ政権の「自国第一主義政策」と、戦後一貫して「自由で開放的な国際協調」を推進してきた日本とは、それぞれの具体的対外政策、あるいは国内政策において様々な軋轢を生じさせています。中国、韓国、北朝鮮と多くの課題を抱えている日本にとり、アジアの安定をもたらすうえで、緊密な日米関係は必須条件です。そのための環境を醸成するのは、政策決定者である政治家・官僚、課題の分析等を行い提供している研究者、そして、現場における政策の主たる実行者であるNGOや市民社会であると言えます。その意味でも、民間組織を強化し、長期的に持続可能な基盤を構築することは喫緊の課題です。2020年、世界を巻き込んだCOVID-19は、間違いなく今後の政策協議や交流の在り方を変えていくことになりましょう。交流とは「人と人」との交わりであり、それによって培われた相互信頼が共感に繋がり、同じ目的に向かって歩んでいく過程がその醍醐味であるとすれば、デジタル技術を利用した新たな交流の進化とともに、パーソナルな触れ合いによる交流もなくすわけにはいきません。今後の交流は、以前にもまして、前例にとらわれない革新的な取り組みが求められます。

 

政治・議会交流を共に歩んだ米国の友人

 

「日米議員交流プログラム:私的回想」 -ジェラルド・L・カーティス

 

28歳でコロンビア大学政治学准教授に就任したジェラルド・カーティスは、1968年上司ハーバート・パッシン教授の推薦で、日米議員交流および下田会議の米国側共同ディレクターとしてプログラムの運営に参画しました。それ以前にも、衆議院議員佐藤文生事務所のインターンとして地元事務所の活動を含め、日本政治の現実を身をもって体験しています。また、下田会議、日米議員交流を通じて、歴代総理を含む多くの国会議員との知己を得、米国屈指の日本政治専門家となりました。カーティスにとり、本プログラムでの連邦議員との交渉を通じて、日本だけではなく米国の政治家と知り合うことにより日米両国の課題を学者としての観察を含みつつ、対話の中身を深める原動力となりました。本論文はその私的回想です。カーティスは、山本正の盟友として生涯にわたる友情を育みました。

 

「日米議員交流を振り返って」  - チャールズ・モリソン

 

ウイリアム・ロス共和党上院議員の立法補佐官チャールズ・モリソンは、1970年代後半、何回か連邦議会スタッフとして訪日していました。しかし、彼とJCIEの結びつきは、ロス上院議員が何回かJCIEのプログラムに参加することにより、そのサポートを行っていたモリソンと山本正とが、当時の日米関係の課題をどのように改善に向けて進めるかを語り合ったことに端を発します。JCIEが連邦議会スタッフとの交流を計画する中で、モリソンの助言は不可欠のものとなり、上院議員事務所を辞して1980年にJCIEにリサーチ・フェローとして参画しました。その後、山本の議会・政治交流をはじめとする政策対話の手法を観察しつつ、米国から見た日本との接点等について日常的に助言するとともに、これからの政策対話の在り方についてもアドバイスを行っています。

 

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