活動報告

日本国際交流センター(JCIE)は、民主主義の未来プロジェクトの一環として、新型コロナウイルス感染症(Covid-19)が民主主義の価値や市民社会に対して与える影響、そして民主主義の将来について意見交換を行うウェビナーシリーズを主催しています。

 

第3回目となるウェビナーは「インド太平洋地域における民主的ガバナンス実現のための協力とパートナーシップ構築」と題し、11月24日(火)に開催されました。

 

ウェビナーで討議された議論は以下の通りです。当日、Youtube上でライブストリーミングした映像もこちらからご覧いただけます。

 

 

 

開催概要

過去15年ほど世界中で、個人の自由や報道の自由の制限、法の支配の弱体化、ポピュリズムの台頭など民主主義の後退という言葉が盛んに言われてきました。インド太平洋地域においても例外ではなく、特にこの5年ほど強権政治が覇権を強め、コロナによりその状況はさらに加速化しています。地域は多様な背景と政治体制を持つ国々からなり、民主主義といっても十国十色です。今回のウェビナーは、排外的に特定の民主主義観を強いるのではなく、民主主義が持つ普遍的価値を尊重し、国際社会やアジアとその価値を共有し連携を深めることを目的に11月24日に開催されました。

 

ウェビナーでは、私たちと意志を同じくする提言書 “The Sunnylands Principles on Enhancing Democratic Partnership in the Indo-Pacific Region” 「インド太平洋地域における民主的統治を促進するパートナーシップ強化に関するサニーランズ原則」(*)(2020年7月発表)を日本に紹介するとともに、包摂的で透明性のある民主的パートナーシップを構築するための具体的な方途とその過程における既存の多国間枠組みの活用や日本に期待する役割についての率直な意見交換を行いました。

 

本プロジェクトでは、今回のようなウェビナーを含め、日本がどのようにこのパートナーシップ実現に向けたプロセスに関わっていくことができるか模索するため、民主主義の問題に取り組む方々や関心をお持ちの方々と、セクターを超え意見交換を深めてまいります。

 

(*)サニーランズ原則とは:

世界人口の半数以上が権威主義体制のもとで生活しており、民主主義の退潮傾向が懸念されています。これを受け、2020 年 1 月、 戦略国際問題研究所(CSIS)が、全米民主主義基金(NED)およびアネンバーグ財団と提携し、インド太平洋地域の有識者らをカリフォルニア州サニーランドのアネンバーグ・エステートへ招集し、民主主義先進諸国が民主的ガバナンスを支えるための戦略について議論しました。同年7月、この討議内容を踏まえた提言書がCSISから発表され、民主主義の多様性、近隣民主主義国に対する支援の重要性、民主主義国を支援する際の総合的なアプローチを10の原則として取りまとめられています。日本からは、当プロジェクトの高須幸雄主査が議論に参加し、この提言書に署名しました。

 

▶提言書はこちら 原文和文翻訳

 

 

パネリスト:

高須幸雄 *モデレーター

 

JCIE「民主主義の未来」プロジェクト主査;

国際連合事務総長特別代表(人間の安全保障担当) 

マルティ・ナタルガワ インドネシア元外務大臣
ヤミニ・アイヤール インド政策研究センター所長
スクチョン・イー

韓国成均館大学校教授;東アジア研究所シニアフェロー

マイケル・グリーン 

戦略国際問題研究所(CSIS)上級副所長 *ビデオ・メッセージ

 

 

主な論点:

「新型コロナウイルスが民主的統治に与えている影響は甚大かつ深刻である」

経済活動、移動や集会の自由等を制限する感染対策により、既に退潮傾向にあった民主的統治は更に後退している。

経済格差の拡大も加わって脆弱な立場にあった人々の苦境に拍車がかかり、より多くの人々が経済や保健を含む様々な側面から脅威にさらされていることを認識すべきだ。

 

「民主主義の形は一つではなく、多様である」

サニーランズ原則が提起する通り、地域内各国の経験を共有し学び合うことにより、民主主義の根幹をなす価値観(法の支配、開かれたガバナンス、政治の透明性、包括性、基本的人権の尊重、公正な選挙等)そのものを守り推進していくことが重要であり、脆弱な立場に置かれた人々を守ることに繋がる。

 
「民主的統治のためのパートナーシップの実現」

民主主義はすべての人々を守り尊重する機能を持つ制度であり、その目的を果たすためにもサニーランズ原則を基とした民主的統治のためのパートナーシップの実現が急務である。この取り組みは首脳会談などのようなイベントではなく、人々の暮らしに関わるレベルで継続的なものとする必要があるため、インド太平洋地域内においては、政治、外交、防衛、開発にとどまらず様々な分野で、経済界、学界、メディア、シビルソサエティなどの多くのアクターの重層的な協力関係を築いていく必要がある。今回のウェビナーを契機に、民主的ガバナンスのためのパートナーシップ実現に向けた意見交換を継続的に行う。

 

 

メディア掲載:

朝日新聞DIGITAL アナザーノート 2020年12月20日(日)佐藤武嗣記者

「民主主義、どこへ向かう? コロナ禍で「退潮」加速」

 

 

 

 

 


民主主義の未来プロジェクトの概要

冷戦終結により共産主義は自壊し、勝利した自由と民主主義が世界に拡散していくと信じられていました。ベルリンの壁崩壊から30年が経った今、世界各地では権威主義的統治手法が拡大し、先進民主国でさえポピュリズムの台頭でぐらつき始めています。今日の世界において、民主主義は顕著に後退していると言っても過言ではありません。

こうした問題意識を踏まえ、JCIEは、国際秩序と普遍的価値が現在どのような脅威にさらされているのかを理解し、日本としてどのような政策を展開できるのか検討する研究プロジェクト「民主主義の未来 -私たちの役割、日本の役割」を2018年に開始しました。

詳細はこちら

 

▶過去のウェビナーシリーズ

2020年6月12日開催 第1回 民主主義の未来 Webinar -台湾とインドネシアから学ぶ、新型コロナウイルス感染症(Covid-19)と民主主義の未来 –

2020年8月5日開催   第2回 民主主義の未来 Webinar – フィリピンに学ぶ、新型コロナ対策の民主主義への脅威 –

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