活動報告

第24回日独フォーラムが、10月27日から29日の三日間にわたり東京(三田共用会議所)で開催されました。日独フォーラムは、1992年の宮沢・コール日独首脳会談により設立が合意され、1993年2月に発足した民間レベルの対話フォーラムで、日本国際交流センター(JCIE)は第1回より運営等の協力をしています。

 

今回のフォーラムは、27日夜の山田美樹外務政務官主催のレセプションに始まり、翌28日・29日の二日間、三田共用会議所で会議が行われました。また、28日夜にはヴェアテルン駐日ドイツ大使主催のレセプションが開催され、29日にはドイツ側メンバーが安倍晋三内閣総理大臣を表敬訪問しました。

 

 

今回の合同会議では茂木友三郎、マティアス・ナス両座長の進行により、「国内の課題と政治の対応」、「高齢社会の成長と厚生-社会イノベーションとその限界」、「外交安全保障-日独のより活発な役割に向けて」という3つのテーマについて活発な議論が行われました。プログラム、参加者および討議要旨は以下のとおりです。

 

プログラム

 プログラム[132KB]

 

参加者

 日本側参加者[268KB] ドイツ側参加者[173KB]

 

討議要旨

第一セッションでは、テーマである「国内の課題と政治の対応」について、日本側の齋藤健農林水産副大臣と玄葉光一郎民主党衆議院議員、ドイツ側のリーゼンフーバ連邦議員(キリスト教民主同盟/社会同盟)とバルトケ連邦議員(社会民主党)が発表した。

 

齋藤副大臣からは、集団的自衛権の行使を可能とする一連の法案が採択された経緯、TPP決着を受けての農業その他の分野における今後の国内対応の重要性、さらに、安倍政権としての経済面の対応方針についてのプレゼンテーションがなされた。玄葉議員のプレゼンテーションは、超少子高齢化社会の克服が最大の課題であるとの指摘とともに、安保法制、中国およびロシアの動向に関する見方、また、2016年の参議院選挙にむけた民主党の対応に関するものとなった。

 

ドイツ側のリーゼンフーバ連邦議員は、ドイツが現在、財政的にも経済的にも安定しているとした上で、シリア難民の急増により短期的には大きな課題を抱えているが、難民の受け入れが人口減少と高齢化に悩むドイツにとって中長期的にはプラスになるとの見解を示した。また、再生エネルギーへの取り組みとギリシャ債務問題についても見解を述べた。

 

続くバルトケ連邦議員は、ドイツが移民・難民を受け入れてきた過去の経験に触れ、ドイツ国内でも移民・難民の受け入れについての賛否はあるものの、難民の支援に積極的な姿勢を示すことがドイツ人の自信の高揚につながると発言した。質疑応答では、日本の安保法制についての世論の動向、日本としてのシリア難民への対応、エネルギー問題、ドイツの進めるインダストリー4.0への評価と日独協力の必要性等が話し合われた。

 

第二セッションの「高齢社会の成長と厚生-社会イノベーションとその限界」では、日本側から中島厚志経済産業研究所理事長が発表し、ドイツと日本はともに少子高齢化に直面しているが、日本の方がより深刻であること、少子化対策の充実とともに女性と高齢者の活躍の機会を増やすことの必要性、さらには移民受け入れを検討する必要性を指摘した。一方、ヴァルデンベルガードイツ日本研究所所長は、日独の自治体同士の交流の事例を取り上げ、成功している地域には明確なビジョン、当事者意識、積極性が共通してあるとし、それが人口問題にも寄与すると述べるとともに、日独のローカルな対話の重要性を指摘した。また、アリアンツ保険会社ベルリン支部長のデヴィル氏は、人工知能が今後、社会や労働環境を大きく変える可能性があることや、変化する社会への適切な対応が重要性であることを述べた。質疑応答では、多様性がもたらすイノベーションの可能性、保守的な環境の中での女性の活躍のあり方、多様性に対する日独の対応の違い等について議論と意見交換が行われた。

 

第三セッションの「外交安全保障-日独のより活発な役割に向けて」では、日本側から田中均日本総研国際戦略研究所理事長が、近年の中国とロシアの台頭に関しての捉え方、日本としての安全保障能力の強化の必要性、さらにEUとして東アジア情勢への関心を持つことの必要性とEUの結束の重要性を述べた。ドイツ側のシュミット連邦議員(90年同盟/緑の党)は、現在の国際情勢についての包括的な分析を行ったうえで、ドイツが近年、国際政治に積極的な役割を果たしていること、多様な課題があるものの、将来について楽観的な見通しを持っていることを話した。

その後のディスカッションでは、東アジア情勢に対する日本からドイツへの期待、世界の紛争の平和的解決に向けた日独の協力、日本と中国・韓国との関係改善の方策、中国に対する日独連携のあり方等について議論が行われた。

 

29日の本会議終了後には、ナス座長をはじめとするドイツ側参加者が茂木座長とともに総理官邸を訪れ、安倍総理を表敬訪問した。この会談では、安倍総理が日独関係の重要性と日独フォーラムの果たす重要な役割について言及した後、日独両座長が会議の主な内容を報告し、意見交換を行った。会談後には、安倍総理と出席者の写真撮影がなごやかに行われた。

 


(追記) 共同座長声明

2016年2月8日、本フォーラムの議論と提言を集約した共同座長声明が、茂木日本側座長と、2016年度から新座長となる小林栄三氏(伊藤忠商事会長)より安倍総理に提出されました。

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