お知らせ

日本国際交流センター(JCIE)は、「グローバルな人の移動事業(日本のグローバル化と外国人財)」の一環として、2023年度下期より、「外国ルーツ青少年の自立をささえる進路・キャリア支援事業」(休眠預金等活用事業)を開始します。本事業では、社会の担い手としてその活躍が期待される存在でありながらも、将来を具体的に設計するために必要な情報、知識を得る機会が十分に得られていない外国ルーツ青少年とその保護者に対して、進路・キャリア選択のための複合的な支援、サービスの提供に取り組む民間公益活動団体に対して、3年間の助成を行います。

 

1980年代後半以降、ニューカマーと呼ばれるアジア系外国人や日系南米人の来日が急増し、2022年末現在、日本に暮らす外国人は約307万人と初めて300万人を超えました。日本に暮らす移民・外国人の増加にともない、日本で教育を受ける外国にルーツをもつ子どもも急増し、1990年代以降に来日したニューカマーを親にもつ子どもが高校、大学に進学する年齢に到達しています。しかしながら、進路・就職等を具体化すべき年齢である高校生相当年齢以上の外国ルーツの若者(以下、外国ルーツの若者とする)は、高校をはじめとする後期中等教育における日本語学習支援の拡充、学校の受入れ体制の整備、専門的な教員・支援者の養成、入学試験の特別枠・特別措置の整備、進学にあたっての経済的支援、働き手としての職務能力の開発などの検討や対策が国、民間いずれにおいても遅れているため、高校・大学等への進学率や高校中退率、進路未決定率などにおいて、いわゆる「日本人生徒」と「外国ルーツ生徒」との格差は義務教育後に拡大しています。(グラフ1参照)

 

一方で、文部科学省が2019年に初めて調査した義務教育相当年齢の外国籍者の就学状況結果により不就学の可能性がある外国籍児童・生徒が約2万人にも上るという実態が明らかにされた後、2021年度の調査では約1万人へと半減しました。しかし、1万人以上の外国籍者が不就学の可能性があるという結果からは、外国ルーツ青少年が義務教育にて教育を確実に受けられる環境が十分に整っているとは言い難い状況です。さらに、外国ルーツの若者にかかわる日本の義務教育相当年齢以上の実態を知るための公表データは乏しく、就学、進路状況などの把握は進んでいません。たとえば、2022年6月現在、法務省の在留外国人統計から抽出した高校生相当年齢の外国籍者が38,927人であるのに対して、日本の高校に在籍している外国籍生徒数は10,387人で、高校生相当年齢の外国籍者に占める高校在籍者の割合は26.7%に過ぎません。外国人学校に通う、日本を離れたといったケースがあるとはいえ、義務教育相当年齢の外国籍児童は約13万人のうち1万人(約8%)が不就学の可能性があるという現状と比べても極めて高いです。このような数字が象徴しているように、外国ルーツの若者の場合、教育システムに包摂されないまま、教育の機会、経済的支援の不足、在留資格による就労制限といった進路・キャリアの選択肢が制限されている現状があり、彼らが自分の将来像が描けない状況の改善が求められています。(グラフ2参照)

 

こうした背景から、「外国ルーツ青少年の自立をささえる進路・キャリア支援事業」では、2023年度中に行う予定の公募の結果に基づいて、採択事業を軸に、外国ルーツの若者の就労意欲やスキル獲得を支えるための企業、学校と連携したキャリアプログラムの開発、実施、高等教育への進学を含む進路選択を拡大するための手法、仕組みの開発、実践、孤立から抜け出すための居場所やコミュニティの形成とその機能の多面化を柱にした適切な支援の提供などに取り組んでいきます。また、多様な背景をもつ外国ルーツの若者が、職業的、社会経済的自立に向けて行動、チャレンジできるための体制整備の戦略、方法論を抽出した支援モデルの提示と、法制度作りに向けた啓発、政策提言などのアドボカシーを図っていきます。

 

グラフ1:日本語指導が必要な外国ルーツの高校生の進路状況

グラフ2:高校生年齢相当の外国ルーツ若者の高校在籍状況

 

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