活動報告 Activities

政策対話・研究

2016.01.05

政治リーダーシップの不在とその国際的影響

日本における政治リーダーシップの不在は、一国のガバナンスの問題を超えて、東アジア、国際社会への影響も大きなものとなりつつあります。本研究プロジェクトでは、30~40才代の若手研究者をメンバーに、日米の政官財学界にて指導的役割を果たす人物へのインタビュー、東京・ワシントンでのワークショップを通じて、政治リーダーシップのありかたについて次世代からの提言を行いました。また日本の若手研究者が米国の研究者とネットワークを構築し、国際的な政策論議に参加する機会を設けることで、グローバルに通用する人材育成も目的としました。   本研究プロジェクトは、スミス・リチャードソン財団および(財)MRAハウスの助成を得て実施し、最終的な成果はLooking for Leadership: The Dilemma of Political Leadership in Japan (JCIE刊)として2015年12月に刊行しました。   研究体制 メンバー 内田 優香 フライシュマン・ヒラード・ジャパン シニア・アドバイザー、元外相秘書官 越智 隆雄 衆議院議員、日本の未来研究所理事長 斉藤 淳 ロゴス・エデュケーション代表、元衆議院議員 佐橋 亮 (公財)日本国際交流センター リサーチ・フェロー、神奈川大学法学部准教授 竹中 治堅 政策研究大学院大学教授 細谷 雄一 慶應義塾大学法学部教授 森 聡 法政大学法学部教授 ジェームス・ギャノン   (James Gannon) 米国法人日本国際交流センター事務局長     シニア・アドバイザー 田中 均 (公財)日本国際交流センター シニア・フェロー、(株)日本総研国際戦略研究所理事長 ジェラルド・カーティス   (Gerald Curtis) コロンビア大学教授

2015.11.30

日本・ASEAN戦略的パートナーシップに関する知的対話(2012~2015)

東南アジア諸国連合(ASEAN)と日本は、2003年の日・ASEAN特別首脳会議での東京宣言および付属の行動計画に基づいて、政治・経済・安全保障等のさまざまな側面にわたる施策を展開するなど、過去40年にわたり緊密な関係を構築してきました。しかし、その後、東アジア・サミットの開始、中国・インドの台頭、国際社会における東アジアの重要性の高まり、さらには既存のアジア太平洋協力機構(APEC)ASEAN地域フォーラム(ARF)等の地域機関が新たな展開を図るなど大きな変化を見せる中で、日本とASEANがより緊密な協力関係を推進していくことが求められています。   本研究プロジェクトは、インドネシア外務省の委託を受け(日ASEAN統合基金)、インドネシアの戦略国際問題研究センター(CSIS)と日本国際交流センター(JCIE)との共催で2ヵ年かけて実施したもので、2015年から2030年を見据え、日本とアセアンの戦略的パートナーシップを強化するためにいかなる努力がなされるべきか、研究及び対話を行いました。   具体的には、(1)ASEAN統合プロセスにおける日本の役割、(2)東アジアにおける日・ASEAN協力、(3)地球規模課題への対応及びグローバル・ガバナンスにおける日・ASEAN協力の可能性、をテーマとして取り上げ、パートナーシップ強化の新たなアプローチを検討し、両地域の政策決定者に政策提言を行い、また、政策決定者、研究者、経済人、メディア、シビル・ソサエティ等のステークホルダーにASEAN-日本関係についての議論と対話の場を提供しました。   リザル・スクマ戦略国際問題研究センター所長、添谷芳秀慶応義塾大学教授を研究共同主査として、1年目は、経済関係、安全保障関係、社会・文化関係に関する研究グループを組織し、2013年9月に提言書(英文|和文)を日本及びASEAN加盟国政府に提出。 研究グループによる総括論文、背景論文を含む報告書は同年11月初頭に刊行し、11月11日には慶應義塾大学三田キャンパスにて、日ASEAN友好協力40周年記念シンポジウム「2015年以降の日ASEAN関係:民主主義・平和・繁栄の地域を目指して」を開催しました。 2年目は、東アジア、グローバル・ガバナンスにおける日・ASEAN協力のあり方を検討するため、2つの研究グループを立ち上げ、2014年8月に政策提言(英文)を日本及びASEAN加盟国政府に提出しました。具体的な研究テーマについては第2期メンバーリストを参照。   最終成果報告書 第2期 Navigating Change: ASEAN-Japan Strategic Partnership in East Asia and in Global Governance 第1期 Beyond 2015: ASEAN-Japan Strategic Partnership for Democracy, Peace, and Prosperity in Southeast Asia   研究活動 第2期 最終座長会合及び有識者とのラウンドテーブル(2014.6.12-13) ジャカルタ研究会合(2014.2.18-19) バリ準備会合(2013.6.13-14)   第1期 ジャカルタ最終会合(2013.6.10-11)  公開セミナー(2013.6.11)   ジャカルタ・ポスト掲載記事 “Strong ASEAN-Japan ties important to global stability” 東京ワークショップ(2013.2.2-4) バリ準備会合(2012.9.1-2)   研究メンバー 【顧問】 Jusuf Wanandi Co-Founder and Vice Chairman of the Board of Trustees, CSIS Foundation, Indonesia 田中 均   日本総合研究所国際戦略研究所理事長  (公財)日本国際交流センターシニア・フェロー 【研究主査】 Rizal Sukma Executive Director, Centre for Strategic and …

2015.07.03

米国ジャーナリスト・フェローシップ・プログラム2015

2015年6月7日から7月3日にかけて、米国ジャーナリスト・フェローシップ・プログラムとして4名の若手ジャーナリストを招聘しました。   近年、米国メディアの日本への関心は低下傾向にあり、一部に日本に関する正確ではない報道が増えているという観察もなされており、こうしたメディアの日本についての報道のあり方が日米関係に負の影響を及ぼすことが懸念されています。 こうした背景から、日本国際交流センター(JCIE)では米国法人JCIEとの協力で、米国の若手ジャーナリストを対象としたフェローシッププログラムを開始しました。世論形成に影響力のある米国ジャーナリストが日本社会の様々なレベルの人々、組織との幅広い対話・交流を通して、日本、日米関係についての理解を深め、アジアにおけるアメリカの役割について再考する機会を提供することを目的としています。   本年は、5年以上ジャーナリストとしての経験を有する若手ジャーナリスト4名をフェローとして招聘しました。東京での共通プログラムでは、政治家、経済人、学者、シビル・ソサエティのリーダー等、日本の様々なセクターの指導者より、日本の政治、外交、経済、社会情勢、歴史・文化およびこれらをめぐる政策課題について取材を兼ねたブリーフィングを受け、様々な角度から日本を捉えるべく、活発な意見交換が行われました。   その後、4名のフェローは1週間から3週間にわたり東京、岩手、愛知、広島、沖縄等を個別に訪問し、各自の取材テーマに合わせた取材活動を行いました。テーマは、日本の安全保障政策や沖縄の基地問題、日本のエネルギー政策、日本の少子高齢化、日本におけるエイズ等の感染症問題、戦後70周年をめぐる動きなど多岐にわたりました。    フェローが執筆した記事は、来日から1年余りの間に下記12件が報道されました。フェローからは、JCIEの幅広い人的ネットワークを通して日本を多面的に理解することができたとの評価をいただくことができました。今後こうした日本での丹念な取材に基づく幅広い報道が日米関係のさらなる強化に大きな役割を果たすことが期待されています。   2015フェロー ダリウス・ディクソン(Darius Dixon) ポリティコ(POLITICO) エネルギー担当記者 アメリカの政治・政策を専門とする情報メディア「ポリティコ」、同社の購読ニュースサービス「POLITICO Pro」で、エネルギー政策や政治についての記事を担当している。ここ5年は、エネルギー省、原子力、配電網を取り上げており、連邦議会議員の記事も担当する。現在の政治的な関心と併せて、カーネギーメロン大学では材質科学、地質学の学士取得。また、ミシガン大学アナーバー校にて、電子機器と放射線廃棄物技術について研究し、材質科学と地質学の2つの修士号を取得。その後、コロンビア大学ジャーナリズム大学院で3つ目の修士号を取得。前職では、環境ニュースサイトである「Environment & Energy Publishing」のClimate Wire部門で科学技術担当記者、雑誌『Wired』にて短期間研究助手を務めた。   サリー・ハーシップス(Sally Herships) マーケットプレイス(Marketplace) 10年以上ラジオ制作を専門とするフリージャーナリスト。現在は、非営利公共ラジオ放送局「アメリカン・パブリック・メディア(American Public Media;APM)」の番組「マーケットプレース(Marketplace)」を担当するだけでなく、BBCワールド・サービス、ニューヨーク・タイムズ紙、NPR、NY公共ラジオ放送局WNYC、Studio 360 、Radiolabの制作・報道も担当している。現在、コロンビア大学ジャーナリズム大学院、サラ・ローレンス校にてラジオ・ライティングを指導し、UnionDocsドキュメンタリー・アート・センターにてラジオ・ブート・キャンプ・プログラムを実施している。軍事基地で安く売られているたばこについての調査プロジェクト「The Five Percent Rule」で、2011  Third Coast Radio Impact Award、ニューヨーク女性記者クラブ2011 Front Page AwardのBert Prepared Reportを受賞。   キャサリン・マクローリン(Kathleen McLaughlin) フリージャーナリスト 10年以上中国を拠点として活動しているジャーナリスト。中国における強制労働、政治、経済、社会的混乱等、中国について幅広く報道している。2008年チベット騒乱後の訪問の際に、チベットへの入境を許可された唯一の米国人ジャーナリスト。中国における電子サプライ・チェーンや、中国のアフリカへの保健援助についての調査プロジェクトを行った。エコノミスト、ワシントン・ポスト、米国報道番組PBSニュースアワー、米国の国際的オンライン新聞Christian Science Monitor、フォーリン・ポリシー、ザ・ガーディアン、米国の日刊新聞San Francisco Chronicle、Buzzfeed等、米国及び英国の主要メディアで報道を担当。米国モンタナ州ビュート出身。モンタナ大学でジャーナリズムを専攻。その後、数年にわたり、モンタナ州で州議会担当記者、政治記者を務めた。     アイザック・ストーン・フィッシュ(Isaac Stone Fish) フォーリン・ポリシー(Foreign Policy)アジア担当編集者 米国の有力外交専門誌であるフォーリン・ポリシーのアジア担当編集者。アジアについての記事を編集、報道、執筆している。前職では、ニューズーウィークの北京特派員を務め、7年中国に駐在した。中国語が堪能。ダライ・ラマの国際貿易への影響、中国の無法国家との関係等についての記事を執筆。ニューヨーク・タイムズ紙、エコノミスト、ワシントン・ポスト、ロサンゼルス・タイムズに記事が掲載されたこともあり、MSNBC民放テレビ局、BBC、National Public Radio(NPR)、アルジャジーラ、Public Radio International(PRI)等に解説者として出演。   2015 フェロ―による記事一覧 There Are More Adult Diapers Sold in Japan Than Baby Diapers, Sally Herships, Marketplace, August 29, 2016 Japan’s Population …

2015.06.30

日米同盟と災害救援

  自然災害は、アジアの人々を苦しめてきました。近年でもスマトラ沖大地震及びインド洋津波被害(2004年)、中国四川省における大地震(2008年)、そして東日本大震災(2011年)に代表される災害によって、多くの犠牲が生み出されています。   これらの経験を振り返るとき、我々は政府・自治体だけではなく民間のNGOやボランティアの活躍に、またシビリアン(文民)に加えて軍人や自衛官の貢献に気づかされます。発災直後から復興に至るまで、官民が手を携える形で多くのプロジェクトが実施されてきました。また特に初期段階において、軍事アセットが活用されることで多くの人命が救われ、被災者に大量の物資が届けられました。自然災害とは人類が制御できる可能性が極めて低い領域であり、アジア、そして世界は今後も災害のリスクとの共存を図るしかありません。しかし、それゆえにこそ、平素からの自然災害への備えは重要であり、国内の危機管理能力の向上に加え、災害救援のための民軍協力のあり方、同盟国及び地域諸国との軍事面を含む協力を推進していくための方策を検討しておくべきでしょう。   日本国際交流センター(JCIE)では、公益財団法人笹川平和財団、国際交流基金日米センターからの助成を得た全米アジア研究所(National Bureau of Asian Research)のカウンターパートとして、2013年度~2015年度にかけて本プロジェクトを運営し、ワシントン、東南アジア、および東京に専門家を広く招聘しての国際会議を開き、2015年6月30日には、政策提言を英語、日本語で発表しました。最終報告書では、高い災害対応能力を有する日本と米国が、人道支援・災害救援(HA/DR)活動を両国の安全保障戦略の重要な柱として位置づけ、特に大規模自然災害の多いアジアにおいて、両国の多様なアクターの参画を得ながら、財政的制約、被災国の主権、そして国際政治への影響に十分配慮しながら、「レジリエンス(復元力)」、「レスポンス(対応能力)」、「リカバリー(回復力)」を高める「戦略的支援」を推進することを提案しています。   報告書 最終報告書  英語版          日本語版(要旨の翻訳)[1.4MB]   全米アジア研究所ウェブサイト(英語)  プロジェクト紹介  最終報告書紹介   研究活動 会合 第3回ワークショップ 2014年9月11-12日(東京) 第2回ワークショップ 2014年3月8-9日(シンガポール) 第1回ワークショップ 2013年9月12-13日(ワシントンDC)   報告書・発表 佐橋亮 日本国際交流センター リサーチフェロー(共同主査)による英国王立国際問題研究所(チャタム・ハウス)での中間報告(2015年2月12日) 第2回ワークショップ報告書(英文、和文要約付き)[1.9MB] 古賀慶南洋工科大学助教(本プロジェクト研究協力者)による中間報告  「日米同盟における人道支援・災害救援活動(HA/DR)協力:政治的シグナルと3つの協力モデル」[199KB] 山口昇防衛大学校教授(本プロジェクトシニア・アドバイザー)による中間報告  「日米同盟における人道支援・災害救援活動:『トモダチ』作戦の教訓」[262KB] 第1回ワークショップ報告書(英文、和文要約付き)[1.8MB]   研究体制 シニア・アドバイザー  Thomas Fargo   全米アジア研究所John M. Shalikashviliチェア、元太平洋軍司令(海軍大将)  山口 昇 防衛大学校安全保障・危機管理教育センター教授、元陸将   共同主査  Abe Denmark 全米アジア研究所副理事長(政策研究)  佐橋 亮   神奈川大学法学部准教授、スタンフォード大学アジア太平洋研究センター客員准教授、日本国際交流センター リサーチフェロー   研究協力者  古賀 慶 南洋工科大学助教授    

2014.10.27

JCIE日米関係セミナー「激動する国際社会における日米同盟の課題」&村瀬二郎メモリアル・レセプション

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米国における日本理解の促進および日米関係の向上に尽力し、米国法人日本国際交流センター(JCIE/USA)の理事長を務めた弁護士の村瀬二郎氏の遺徳を偲び、2014年10月27日に東京でJCIE日米関係セミナーおよび村瀬二郎メモリアル・レセプションを開催しました。

2013.11.30

日ASEAN友好協力40周年記念シンポジウム

日本国際交流センター(JCIE)では、2013年11月11日、慶應義塾大学東アジア研究所、インドネシア戦略国際問題研究センター(CSIS)との共催により公開シンポジウム「2015年以降の日ASEAN関係―民主主義・平和・繁栄の地域を目指して」を開催しました。本年は、日本と東南アジア諸国連合(ASEAN)が初めての公式協議「日・ASEAN合成ゴムフォーラム」を発足させてから40周年にあたり、本事業は、日ASEAN友好協力40周年記念事業として開催したものです。

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