研究事業 東アジアにおける「人の移動」とシビル・ソサエティの役割―地域の安全と繁栄のために
アジア地域は、地域内での超国家的な経済活動や、非経済活動により、観光、留学、労働、結婚等の形で人々の地域内での国際移住が進展しています。今後さらに経済のグローバル化、域内諸国の緊密化、そして各国内における人口構成の変化が進むにつれて、人の国際移動・移住が与える課題、機会への対応をどう進めていくかは大きな課題となります。また、人の国際移動・移住は、移住者の人権問題、移住者の技能・能力開発の問題、受け入れ国での社会統合の問題、移住者の再帰還と再統合の問題といったように、送り出し国と受け入れ国との結びつきの中で考えるべき課題が多くあります。 しかし、アジア地域における移住・移民政策には制限が多く、国・地域間の協力による移住システムの構築への議論は始まったばかりです。移動における制度的制約が大きければ大きいほど、非合法ルートに頼る者も増え、移動する者は様々な法的・行政的保護から排除された構造的な脆弱性を抱えやすくなるため、地域内における移住システムの構築は重要な課題となります。 こうした背景から、日本国際交流センター(JCIE)では、米国のマッカーサー財団によるプロジェクト「アジア安全保障イニシアティブ」の一環として実施してきた研究・対話事業「アジアの安全保障に対する非政府組織の貢献」の第3期として、東アジア8カ国における人の移動に焦点を当て、研究事業「東アジアにおける『人の移動』とシビル・ソサエティの役割―地域の安全と繁栄のために」を立ち上げ、2014~2015年度にかけて調査研究を実施しました。プロジェクトの概要と成果は以下のとおりです。 研究チーム 共同主査 Mely Caballero-Anthony 南洋理工大学准教授、ラジャラトナム国際研究院(RSIS)非伝統的安全保障研究センター所長(シンガポール) 毛受 敏浩 日本国際交流センター執行理事、チーフ・プログラム・オフィサー [中国] 田 方萌(Tian Fangmeng) 北京師範大学社会発展・公共政策学院助教(中国) [インドネシア] Avianthi Azis インドネシア大学国際関係学科講師 [ミャンマー] Moe Thuzar シンガポール国立東南アジア研究所(ISEAS)ミャンマー研究プログラムISEASフェロー、アセアン研究センター研究主任 [フィリピン] Jorge V. Tigno フィリピン大学政治学科准教授・学科長 [日本] 毛受 敏浩 [韓国] 李 惠珍(Lee Hyejin) 日本国際交流センタープログラム・オフィサー、法政大学比較経済研究所兼任研究員 [シンガポール] Mathews Mathew シンガポール国立大学リ・クァンユー公共政策大学院政策研究所上級研究員 [ベトナム] Liem T. Nguyen 人口・健康・開発研究所副所長(ベトナム) [東アジアの地域枠組み] ガイガー 敦子 米国法人 日本国際交流センター財務・オペレーション担当ディレクター Asia on the Move: Regional Migration and the Role of …