2005年9月の国連首脳会合で合意された成果文書PDF[166KB]にて「人間の安全保障」の概念をさらに議論することがコミットされた(パラグラフ143)。これを受けて、2010年4月6日に人間の安全保障に関する国連事務総長報告が発表され、国連総会における同報告書をめぐる公式討論(2010年5月20日)を経て、7月16日には人間の安全保障に関する国連総会決議(A/RES/64/291)PDF[95KB]が初めて採択された。この決議では、国連事務総長に対し、加盟国の人間の安全保障についての考え方を踏まえた報告書をとりまとめ、第66回国連総会(2012年)に提出するよう求めている。

本プロジェクトは、こうした流れ、さらにはセミナー「人間の安全保障と健康」(2010年5月14日、ニューヨーク)での議論を受けて、「健康」を切り口に改めて「人間の安全保障アプローチ」の付加価値を明らかにし、概念と実践を繋ぐガイドラインの策定を目指したものである。具体的には、健康に対する人間の安全保障アプローチと類似の政策概念との関連性を整理しつつ、アフリカ、アジア、中南米において事例研究を実施し、人間の安全保障アプローチの政策概念及び実践的アプローチとしての付加価値を明らかにし、実践に求められる要素の抽出を試みた。

初年度(2011年)はアフリカの事例を取り上げ、2011年4月末から5月頭にかけて現地視察を行ない、第3回TICAD閣僚級フォローアップ会合(2011年5月1-2日、セネガル)に合わせてサテライト・セミナー(5月2-3日)を開催した。2年目(2012年)は、ペルー・リマにて「米州における健康と人間の安全保障」に関する公開セミナー及びワークショップ(2012年9月6-7日)を開催した。そして、3年目(2013年)は、アジアの事例研究を進め、TICAD V開催に合わせて、全地域の事例研究の成果を持ち寄り、2013年6月3日に東京でワークショップを開催し、ガイドライン案及び汎米保健機構(PAHO)の米州ガイド案について議論した。また、TICAD Vのサイド・イベントとして実施された人間の安全保障シンポジウム「人間の安全保障:力強い個人と明るい未来を築く」に協力し、アフリカの事例研究を実施しているナイジェリアのNGO保健科学・研修・調査・開発センター(CHESTRAD)のローラ・ダレCEOがパネルに参加し、事例研究の成果としてまとめた政策提言書 "A Human Security Approach for Achieving Universal Health Access in Africa: Promoting Resilience and Securing Human Dignity"[1.1MB]を会場で配布した。

2016年4月には、それまでの議論及び事例研究を踏まえ、報告書"Health, Resilience, and Human Security: Moving Toward Health for All"[1.94MB]を刊行した。

シニア・アドバイザー
高須 幸雄    人間の安全保障担当大使、人間の安全保障担当国連事務総長特別顧問
武見 敬三(財)日本国際交流センターシニア・フェロー
実行委員
神馬 征峰    東京大学大学院医学系研究科国際地域保健学教授 [委員長]
石井 澄江(財)ジョイセフ常任理事・事務局長
稲場 雅紀「動く→動かす」(GCAP Japan)事務局長
勝間  靖早稲田大学国際学術院教授、グローバル・ヘルス研究所 所長
木村 秀雄東京大学大学院総合文化研究科教授(人間の安全保障プログラム兼任)
小沼 士郎外務省国際協力局国際保健政策室長
山本 太郎長崎大学熱帯医学研究所教授
湯浅 資之順天堂大学准教授
渡邉  学JICA人間開発部次長兼保健第一グループ長
協力機関
保健科学・研修・調査・開発センター(CHESTRAD)(ナイジェリア)
汎米保健機構(PAHO)
環境財団(メキシコ)
ワーキング・グループ
北村 尭子東京大学医学系研究科国際地域保健学教室
清水 真由美東京大学医学系研究科国際地域保健学教室
スーザン・ハバード米国法人 日本国際交流センターシニア・アソシエイト
鈴木 智子(公財)日本国際交流センター シニア・プログラム・オフィサー
吉岡 加奈(公財)日本国際交流センター アシスタント・プログラム・オフィサー

(掲載されている肩書は2013年6月現在のもの)