活動報告

日本国際交流センター(JCIE)では、「外国ルーツ青少年未来創造事業」(以下、SYDRIS)と住友商事株式会社の社員参加型の社会貢献活動プログラム「100SEED」(以下、100SEED)との連携事業を実施しています。

本事業は、JCIEと住友商事のパートナーシップに基づき、住友商事の役職員が外国ルーツ青少年を支援する市民公益活動団体の組織・事業運営基盤の強化支援及び学習支援教室の生徒への学習支援に参画するものです。

 

JCIEでは、日本に暮らす外国にルーツを持つ子ども・若者を取り巻く現状、課題と、その課題解決に向けての取り組みの重要性への理解とともに、SYDRISと100SEEDの連携を深めることを目的に、住友商事グループの役職員を対象としたランチ・ウェビナーを実施しました。学習支援とキャリア支援をテーマに2月24日、3月2日に2回にかけて行ったランチウェビナーには、それぞれ100人以上の参加を得ました。

 

 

 

第1回 ランチ・ウェビナー(2月24日):外国ルーツ青少年の学習支援を考える

学習支援をテーマに実施した第1回のウェビナーでは、SYDRISの助成団体である、社会福祉法人さぽうとにじゅういちの学習支援コーディネーターの矢崎理恵氏と、高岡外国人子どものことばと学力を考える会(アレッセ高岡)の理事長の青木由香氏をスピーカーに招き、外国ルーツ青少年の学習における困難や、地域社会の構成員としての教育の必要性などについてお話いただきました。

 

矢崎氏は、子どもたちが「学校に通えている」ことが「教育を受けられている」という意味ではないことを指摘し、日本での教育の機会が確保できるように「安全で安心な学びの場」を提供する支援活動の必要性を強調しました。青木氏は、地方都市において少子高齢化と若者の都市流出などにより、地域の持続可能性が失われつつある一方、外国にルーツを持つ子どもとその家族の数は少ないながら増えている現状を説明し、その子どもたちの可能性を広げることが、地域の未来を拓くことにつながるという市民性教育の必要性について述べました。

 

後半では、JCIEの執行理事毛受敏浩のモデレーターのもと、矢崎氏と青木氏に加え、それぞれの団体で支援活動を行った住友商事のサポートチームの代表メンバーがパネリストとして登壇し、支援活動に参加したきっかけや、具体的な支援活動の内容、活動を通して気づいた点などについて話しました。登壇したサポートチームの代表は、「プロボノ活動に参加するには特別なスキルが求められるとのイメージがあるが、課題整理やタスク管理など日々の業務で身に付けてきたスキルが団体の活動を支えるものとして生かせた」と経験を述べました。また、支援活動に参加した経験を通して、社会変革に取り組む志高いメンバーと一緒に活動をするなかで、社会課題が自分ごととなったこと、今後は外国ルーツの子どもたちが抱えている課題を自分の周囲に伝えていきたい、との感想も話しました。

 

第2回 ランチ・ウェビナー(3月2日):外国ルーツ青少年のキャリア支援を考える

キャリア支援をテーマに実施した第2回のウェビナーでは、特定非営利活動法人ABCジャパンの理事長の安冨祖美智江氏、コーディネーターの渡辺裕美子氏と、特定非営利活動法人glolabの代表理事の柴山智帆氏をスピーカーとして招き、義務教育年齢以降の外国ルーツ青少年への支援が乏しい現状や、キャリア教育の必要性についてお話いただきました。


柴山氏は、外国ルーツ青少年の高校中退率や高卒後の非正規雇用率の高さを指摘しました。また、進路・進学・就職などキャリア形成にかかわる情報提供、コミュニティづくり等を通じて、外国ルーツ青少年の自律学習を促しつつ、それを支援するバックアップ体制作りの必要性を述べました。渡辺氏は、外国籍住民の定住化が進むにつれ増えている移民2世・3世にキャリア・職業の選択の幅が極めて限定的である現状を指摘し、資格取得や就労のための日本語学習の機会を提供することで職業的自立を支援することが重要であると強調しました。

 

第2回の後半でも第1回と同様に、それぞれの団体でサポートを行った代表メンバーが登壇しました。活動をしながら新しく得られたことは何かという質問に対して、「支援活動では、普段の仕事とは脳みその別の部分が刺激されるように感じ、多忙な中でも充実した時間だった。外国ルーツ青少年のサポートに関われているという達成感も得られた。」という感想を述べました。また、受け入れた団体からは、「住友商事プロボノチームのサポートは、熱い思いだけで曖昧になりがちな団体の事業目標や問題意識を明確にする機会になった」、「これから事業を運営していくうえで良い刺激を受けている」といった感想が寄せられました。

 

ウェビナーに参加した住友商事グループの社員からは、外国ルーツ青少年の現状や課題について知る機会となり、このようなセミナー開催を継続してほしいとの要望とともに、SYDIRSと100SEEDの連携事業の意義や支援活動の重要性を感じ、参加してみたいとの感想が寄せられました。

 

企業と市民公益活動をつなぐ

外国ルーツ青少年を取り巻く課題には、より多様なセクターが、セクターを超えて、お互いの強みやノウハウを持ち寄って、課題への働きかけを進め、社会変革につなげるためのコレクティブ・インパクト(注)が求められています。

 

JCIEのSYDRISと住友商事100SEEDの連携は、日本に暮らす外国ルーツ青少年の存在と、彼(女)らが抱えている課題、そして、その課題を解決に向けて企業と市民公益活動をつなぐ取り組みであります。

 

JCIEとして、SYDRISの採択団体への資金提供とともに、セクターをつなぐ共通のアジェンダ作り、組織間の学習と活動の改善に向けたアセスメント体制、相互に活動を補強するコミュニケーション体制の構築など、コレクティブ・インパクトを生み出すバックボーンサポート体制作りに取り組んでいきます。

 

(注)コレクティブ・インパクトとは、多様なプレイヤーの協働を組織することを通じて、個々のプレイヤーだけでは達成できないインパクトの達成を⽬指す試みを意味します。

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