活動報告

日独フォーラム第29回合同会議が、2021年5月20日、21日の2日間にわたり、オンラインで開催されました。日独フォーラムは、1992年の宮沢・コール日独首脳会談により両政府間で設立が合意され、翌年2月に発足した日独間の民間対話フォーラムです。日本国際交流センター(JCIE)は、第1回より事務局を務めています。

 

コロナ禍にて初めてオンラインで実施した今回のフォーラムは、日本側の小林栄三座長(伊藤忠商事株式会社特別理事)とドイツ側のマティアス・ナス座長(ディ・ツァイト紙外信局長)の進行により、「日独における政治経済情勢」、「日独における米国との関係の再起動とインド太平洋戦略」、「新型コロナウイルスからの教訓」と題した3つのテーマについて議論が行われました。

また、21日のフォーラムの最後には、今回のフォーラムをホスト側であるドイツのアンゲラ・メルケル首相から、日独関係の重要性と日独フォーラムの活動への感謝を表するビデオメッセージが送られました。プログラム、参加者及び討議要旨は以下のとおりです。

 


 

プログラム

プログラム

 

参加者

参加者

 

討議要旨

第一セッション「日独における政治経済情勢」では、まずドイツ側から、コロナ禍によるドイツ社会及び政治の変化を触れ、メルケル首相の退陣後の次期選挙においてレジリエンスな新しい民主主義が重要になるとし、中道派の進展の可能性、経済におけるV字回復から見える明るい見通しが述べられた。日本側からは、コロナ禍での日本国内の政治経済情勢を日本型システムの構造的問題として指摘するとともに、リベラル・デモクラシーの危機ともいえる世界的諸現象がコロナにより加速されている現状への懸念が提示された。基調報告を受けて行われた議論では、ドイツにおけるEUの再評価や、デジタル化による情報安全の問題への取り組みの必要性、政治におけるコミュニケーションの課題、政治と科学の連携の重要性などが話し合われた。

 

 

第二セッション「日独における米国との関係の再起動とインド太平洋戦略」では、ドイツ側では、政治、経済に加え、軍事面における中国の台頭が国際的な課題として浮上しているなかでの米国、日本とのパートナーシップの重要性や、デカップリング政策ではなく関係維持の中で中国を取り込んでいくことの必要性、ドイツとしてのアジアでの中国重視主義から東南アジアなど通商関係の多元化の方針が基調報告として行われた。

日本側からは、従来から密接かつ複雑な日中関係において、中国の台頭がもつ日本における様々な意味合いに触れ、アジアの安全保障環境への影響、それを踏まえたインド太平洋に対する日本の戦略とドイツをはじめとする諸国への働きかけの重要性が述べられた。その後、中国を巡る日本とドイツの対応の在り方、政治的な対立の中で民間交流の重要性、中国における人口変動等中国国内の変動を踏まえた戦略などについて活発な議論が行われた。

 

第三セッション「新型コロナウイルスからの教訓」では、途上国へのワクチン支援を含む国際協調の重要性や、ワクチンの知的所有権を巡る問題、国際船舶における感染症発生への対策、ユニバーサル・ヘルス・カバレッジ(UHC)の普及の重要性、日独におけるグローバルヘルスイッシュー分野の協力の現状と課題が提示された。続く議論では、日独の強みであるバイオ、医薬における包括的な協力への検討とともに、日独またその他の国における感染症を巡る弱点の分析と対応体制作りの必要性等が提案された。

 

 

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