活動報告

日本国際交流センター(JCIE)は、2022年6月7日に「外国ルーツ青少年未来創造事業」(以下、SYDRIS)の一環として実施している、「外国ルーツ青少年未来づくり検討会」の第3回勉強会「外国ルーツ青少年へのキャリア支援とは何か」を、国民生活産業・消費者団体連合会(以下、生団連)とハイブリッド形式で共催しました。

 

本勉強会は、生団連の会員企業・団体を対象に、SYDRISの助成事業として地域連携により高校生以上の外国にルーツをもつ子ども(以下、外国ルーツ青少年)のキャリア支援に取り組む、特定非営利活動法人ABCジャパンの田村梨花 理事と、社会福祉法人青丘社の原千代子 事務局長の2名を講師としてお迎えしました。

 

最初に、田村氏から「日系人受け入れの経緯と現状、未来に向けたキャリア支援」をテーマに、日系移民の歴史、日本国内に暮らす外国人の来日背景の解説、特に日系ブラジル人の定住化の現状に伴う課題と必要な対応について説明がありました。田村氏は講話の中で、90年代当初、いずれは母国に帰国する前提の「出稼ぎ労働者」として来日していた日系ブラジル人は、2008年のリーマンショック以降は定住・永住化の傾向が高まり、これにより、育児・子どもの就学など、労働以外の場面で日本社会との接点が増え、日本語の習得が不可欠となっている現状を訴えました。日本語教育や母語での情報提供など、総合的対応の遅れが外国ルーツ青少年の学習やキャリア・就労問題に顕著に現れているとして、受入国として日本社会の意識の変革とあわせて、日本人一人ひとりが企業人として、そして生活者としてできることは何かを考え、行動し、公正な社会を創ることが、外国ルーツ青少年のキャリア支援にとっても不可欠であると強調しました。

 

次に、原氏は、「外国ルーツ高校生・若者の『居場所づくり』と『地域先輩の人材育成』」をテーマに、活動の拠点である神奈川県川崎市を中心に、表面化する外国ルーツ青少年の就職、キャリアの実態について説明しました。特に、家族呼び寄せにより来日した子ども・若者の日本語能力不足をはじめ、雇用形態に関するの情報、知識不足など、キャリアを築く上での課題を指摘しました。また、15歳以上の高校生年齢の外国ルーツ青少年に対する支援が乏しい中、就労のための日本語の習得やキャリア説明会など、当事者がより安定して自立していけるような取り組みの重要性ついても述べました。

 

最後に、外国ルーツ青少年の声を聞く機会として、当事者インタビューを視聴しました。インタビューでは、自身が日本語とポルトガル語の言語能力が不十分である13歳の時に来日し、言葉もアイデンティも「中途半端」であったことにコンプレックスを感じていた中で、そのコンプレックスを利点、可能性として捉えるべきとの言葉で考え方が変わったことを明かしてくれました。外国ルーツ青少年にも十分な可能性があり、自発的に必要な情報を集められるように、周りの大人が後押しする必要があると訴えました。

 

最後のディスカッションではグループに分かれて、本勉強会の振り返りと、自社・団体内における外国ルーツ青少年の受入れの取組みと課題について意見交換しました。その中でも、当事者インタビューで語られていた自己肯定感を持つことの大切さ、企業と当事者同士の間で情報を正確に届け、受け取ることができていないといった、情報を巡る障壁を取り除くこと、企業内での受入れ態勢としてのやさしい日本語の重要性等が指摘されました。

 

資料

 

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