活動報告

日本国際交流センター(JCIE)は、「外国ルーツ青少年未来創造事業」(以下、SYDRIS)と住友商事株式会社(以下、住友商事)の社会貢献活動プログラム「100SEED」(以下、100SEED)との連携事業を2020年より実施しています。これまでの活動を総括し今後のビジョンを共有するための「100SEED×SYDRIS 多文化共生社会を目指す教育支援:成果報告会」が、11月30日に東京にて対面で実施されました。

 

開会挨拶では、住友商事株式会社サステナビリティ推進部副部長の加藤洋氏が、住友商事の創立100周年を記念し新たな100年を見据えた100SEEDプログラム設立の経緯を振り返り、日本における教育の質の向上を目指す100SEED×SYDRISの社会貢献活動の意義を力強く述べました。

以降の報告会は、以下の「データで振り返る『100SEED×SYDRIS』」、「協働の姿を届ける」、「協働の意義・価値を届ける」の三部構成によって行われました。

 

 

第1部:データで振り返る「100SEED×SYDRIS」

第1部では、参加社員へのアンケート及び団体へのアンケートのデータをもとに、住友商事の三浦由美子氏とJCIEの李スーインがこれまでの100SEED×SYDRISの活動を概観しました。

住友商事グループの社員による投票により、日本の教育システムから取り残されやすい、外国ルーツの子どもたちへの教育活動が国内の活動の一つとして選出され、100SEED×SYDRISのプロジェクトが始まりました。これまでの1クール6か月の5クール、計2年半の活動には、日本全国及び海外からの3名を加えたのべ168名が参加したという実績があり、より社員が参加しやすいようチームでプロジェクトを実施し引き継がれてきたことが報告されました。参加した社員には、外国ルーツ青少年が直面する課題の理解に加えて、多文化共生や社会課題への認識が深まるという影響が示されました。課題としては、仕事との兼ね合い、良質な成果物というアウトプット、円滑なコミュニケーションがあげられてきましたが、いずれも改善の方向に向かっていることがデータから明らかとなりました。そして、ここ3クールでは、「活動への参加を他の人に勧めたいか」という問いへは、全回答者が「ぜひ勧めたい」「勧めたい」と肯定的に答えています。

 

第2部:協働の姿を届ける

 第2部では、100SEED×SYDRIS四つの団体:IKUNO多文化ふらっと、ABCジャパン、さぽうと21、DiVE.tvの団体スタッフとそれぞれのサポートチームに加わった住友商事社員が「協働の姿を届ける」をテーマに、これまでの活動の振り返りを中心にサポート活動の諸相を共有しました。

これまでの団体と住友商事社員の協働の結果、外国ルーツの子どもたちへの学習支援、大規模イベントの開催、ホームページやSNSの整備などによる団体の事業の「見える」化、そのうえでの協賛企業や寄付金集め、面接練習やキャリア支援などにおいて、着実な成果が得られたことが分かりました。これらの協働においては、住友商事社員が培ってきた営業、経理、人事などの専門スキルや海外駐在経験からの多言語スキルや異文化に対する柔軟性やコミュニケーション能力が活用されています。団体にとっては、合理的な考え方や取捨選択による見極めといった企業のアプローチに触れ、客観的なアドバイスを得て、組織に新しい風を呼び込む機会となり、受益者となる子どもたちにとっては、家族やコミュニティ、支援団体関係以外の、普段接しないような大人と出会いその考え方に触れる機会となったことが語られました。参加社員にとっては、非営利団体での挑戦を通して、本業とは異なる考え方に触れ、新たなる気づきを得、外国ルーツ青少年の置かれている状況について理解を深める機会となりました。

 

第3部:協働の意義・価値を届ける

第3部では、JCIEの李ヘジンをモデレーターに、100SEED×SYDRIS三つの実行団体:アレッセ高岡、glolab、青少年自立援助センター(YSC)の団体スタッフとそれぞれのサポートチームと住友商事事務局を登壇者に迎え、「協働の意義・価値を届ける」をテーマに、これまでのサポート活動を通して感じたことや、非営利団体と企業が協働をする上で大切なことなどについて、ディスカッションを行いました。

団体側も参加社員も、最初は「協働によってなにができるか」手探り状態だったが、模索する時期を経て、お互いに理解を深めて歩み寄ることで、今や共に考え、率直な意見を交わすことができる信頼関係を築くことができた2年半だったと振り返りました。あきらめないで積極的にコミュニケーションをとり続けること、本音で話すこと、ウィンウィンの関係を目指し続けることなど、協働を成功させるコツが語られました。最後に、「思い」を継続的な「仕組み」に落とし込むには企業人のサポートが有用であること、住友商事のような大企業の社員参加は社会認知を高める上で大きな影響力があること、支援先団体とビジネス界で活躍する企業との協働によって社会を変化させる新たなものが生み出される可能性があることが、非営利団体と企業が協働して社会課題に取り組む意義として強調されました。

 

 

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