活動報告

日本国際交流センター(JCIE)では、個人会員・法人会員向け事業として従来より「麻布グローバルサロン」を定期的に開催してきました。本年7月に事務所を移転したことに伴い、今後「JCIEグローバルサロン」と名称を変更して同事業を行っていきます。12月1日に開催したサロンでは、当センターの理事であり、国際連合事務総長特別代表(人間の安全保障担当)である高須幸雄氏を招き、「国連組織のグローバル経営~国連事務次長の経験から」をテーマにお話しいただきました。

 

大河原理事長が司会進行を務め、最初に参加者より各自の自己紹介と国連との関わり、国連について知りたいことなどについてお話をいただきました。その後、「国連からみた日本の外交」、「国連の直面している課題」、「グローバル組織としての国連運営」、「国連と民間企業との関係」など参加者から投げかけられた質問に対して高須理事はご自身の経験を踏まえながらそれぞれの質問への回答を行ったあと、本題である国連組織のグローバル経営へと話を進めました。

 

高須理事は長い外務省のキャリアの中で国連を中心とした仕事に携わることが多かったこと、そしてとりわけ2012 年から2017年5月までは国連事務次長(管理局長)として、国連のマネジメント全般を担う要職を日本人で初めて務め、国連及び国連専門機関の事務方の長として異なる国籍・人種からなる国連職員を束ねながら、国連システム全体の改革に尽力した経験を述べられました。 国連は世界に98の組織を有し、正規職員とそれ以外の職員を合わせて20万人以上を抱える巨大なグローバル組織です。各組織はそれぞれ独自の方法で、財務、人事、調達業務、IT化などの取り組みを行っており、多様な価値観を有する職員の集合体である国連の組織運営の難しさを説明されました。高須理事は在任中、加盟国分担金不払いや拠出金削減による財政危機を幾度も乗り越え、その度に米国をはじめ各国との交渉に携わったことなどについて詳述されました。また数度の国連行財政改革は、巨大国際組織ゆえのさまざまな苦難があったことを述べると同時に、そうした組織群を管理、調整していくうえでのマネジメントの重要性を強調されました。さらに、改革抵抗勢力への対処、国連システムの統合、また職員の勤務評定など国連内部に精通した高須理事ならではの話の数々は極めて示唆に富むものでした。

 

最後に、国連の三つの役割である、「世界の平和と安全の維持」、「経済的・社会的開発」、「人権」を遂行するためには、人・金・知恵の三つがうまく作用することが必要と説き、その作用を促すためにもマネジメントが重要であることを強調して話を終えられました。

 


高須幸雄 プロフィール

国際連合事務総長特別代表(人間の安全保障担当)

 

外務省に入省後、国連日本代表部参事官、西欧第二課長、国連政策課長、インドネシア公使などを歴任。1993年事務次長補(財務官)として、国連の予算・財政管理を担当。1997年国連日本代表部大使に着任し、安全保障理事会を担当。2000年国際社会協力部長に就任し、人間の安全保障を推進。在ウィーン代表部大使を経て、 国連常駐代表を務め(2007年—2010年)、安保理議長に2回就任。2012年から2017年5月まで国連事務次長(行政監理局長)として国連のオペレーション全般の責任者。

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