活動報告

2015年以降の日ASEAN関係日本国際交流センター(JCIE)では、2013年11月11日、慶應義塾大学三田キャンパス「北館ホール」にて、慶應義塾大学東アジア研究所、インドネシア戦略国際問題研究センター(CSIS)との共催により公開シンポジウム「2015年以降の日ASEAN関係―民主主義・平和・繁栄の地域を目指して」を開催しました。本年は、日本と東南アジア諸国連合(ASEAN)が初めての公式協議「日・ASEAN合成ゴムフォーラム」を発足させてから40周年にあたり、本事業は、日ASEAN友好協力40周年記念事業として開催したものです。

 

本シンポジウムは、JCIEとCSISが2012年夏より実施している「日本・ASEAN戦略的パートナーシップに関する知的対話」の初年度の研究成果―「2015年を超えて:東南アジアの平和・安定・繁栄のための日本・ASEAN戦略的パートナーシップ」が取りまとめられたことを受けて開催しました。 右ポスター ダウンロード

プログラムおよび議論の概要は以下の通りです。

 


プログラム

基調講演: スリン・ピッツワン 前ASEAN事務局長
開会挨拶: 渋澤 健 JCIE理事長
開会スピーチ:  ユスフ・ワナンディ インドネシアCSIS副会長
  田中 均 (株)日本総合研究所国際戦略研究所理事長
提言発表: タン・シュー・ヤン マレーシア大学IKMAS経済学教授
  木村福成 慶應義塾大学経済学部教授
  リザル・スクマ インドネシアCSIS所長
  添谷芳秀 慶應義塾大学法学部教授
  カロリナ・ヘルナンデス  フィリピン大学政治学名誉教授
  首藤もと子 筑波大学人文社会科学研究科教授
コメント: 深川由起子 早稲田大学政治経済学部教授
  菊池 努 青山学院大学国際政治経済学部教授
  武見敬三 参議院議員
閉会挨拶: 清家 篤 慶應義塾長
     

 

【共催】 慶應義塾大学東アジア研究所
     インドネシア戦略国際問題研究センター  
     (公財)日本国際交流センター
【後援】 外務省(日・ASEAN友好協力40周年)
【協賛】 日ASEAN統合基金
    

 

概 要

シンポジウム冒頭、知的対話事業の顧問であるユスフ・ワナンディ CSIS副会長は新しい発想で日ASEANの協力のあり方を考える必要性を訴え、田中 均(株)日本総合研究所国際戦略研究所理事長は、1977年の福田ドクトリンから両地域関係を振り返り、タブーのないより自然な関係になったことを歓迎すると共に、日本はこれまで達成してきたことに誇りを持ち、前向きになるべきであること、そして日ASEANの戦略的な関係と中国との建設的な関係は両立しうることを訴えた。

 

同事業発足時にASEAN事務局長であったスリン・ピッツワン氏による基調講演では、ASEAN、日本それぞれの変化を概観した上で、政治・安全保障、経済、社会・文化3つの共同体について、これまでの日本の貢献について評価すると共に、今後の課題を提示した。また、日本が推進してきた「人間の安全保障」の考え方の重要性、今後のASEANの成長は、生活の質によって測られ、その面での日本の貢献への期待が示された。

 

 

その後、各共同座長より政策提言の主要メッセージが発表され、深川由起子 早稲田大学政治経済学部教授は経済パートナーシップについて、菊池 努 青山学院大学国際政治経済学部教授より政治・安全保障パートナーシップについて、武見敬三 参議院議員より社会・文化パートナーシップについてそれぞれコメントを行なった。

 

深川教授はこれまでの経済協力を評価する一方、さらなる自由化を後押しする必要性、ASEANが革新的な産業構造を持つこと、中小企業の育成を考える際、小売店などの自営業も視野に入れるべきであると述べた。また、高齢化、環境対策、労使関係の分野での経験の共有や協力の推進の必要性も訴えた。菊池教授は、ASEAN諸国間の信頼醸成を一層推進する上で協働を重ねる必要性、日ASEANを取り巻く地政学上の新たな課題をより明確にする必要性、日ASEANが先進国と新興国の新たな国際秩序を作っていくことへの期待が述べられた。また、政策提言を売り込むキャッチフレーズを考えることも提案された。 武見議員は、人間中心のASEAN共同体を構築するためには衡平な社会の実現が不可欠であることを強調し、日本では健康で教育レベルの高い中産階級社会を実現したことが社会の安定に寄与したことを紹介した上で、そうした経験を日本がASEANと共有していくこと、そして両地域にプラスになる協力分野を特定することを求めた。

 

なお、公開シンポジウムの前には、超党派議員とプロジェクト関係者との朝食会合、外務省、国際協力機構(JICA)、研究者、ジャーナリスト、ASEAN諸国大使館関係者とのラウンドテーブルも開催され、政策提言に基づき議論を深めた。

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