活動報告

日本国際交流センター(JCIE)では、「外国ルーツ青少年未来創造事業」に引き続き、「外国ルーツ青少年の教育スタート支援事業」の助成先団体に対して、住友商事(株)の社員参加型の社会貢献活動プログラム「100SEED」との連携に基づく支援を行っています。

 

この連携の一環で、2023年8月2日には、「日本各地に増える外国ルーツ子ども・若者を知る」をテーマにランチウェビナーを開催し、住友商事の役職員約60名が参加しました。ランチウェビナーでは、2020年度「外国ルーツ青少年の教育スタート事業」の助成先団体である、認定NPO法人まなびと、NPO法人トルシーダを迎えて、変わりつつある地域の「今」を伝えるとともに、その変化をポジティブなものにするために必要な視点について議論を行いました。

 

初めに、外国人割合が増加を続けている兵庫県神戸市を拠点に活動している認定NPO法人まなびと理事長の中山迅一氏は、まなびととして子どもたちの「“やりたいこと”が見つかるまでの待ち時間」を創るために居場所、出会いを作り、一人ひとりが、自分の人生に納得感をもって生きられる社会づくりを目指していると述べました。ボランティアのスタッフと協力しながら、子どもたち一人ひとりがまるで「家」のような手厚い見守りを受けられる、一人ひとりに寄り添う保育を実践している学童保育施設「北野くん家」の運営を例に、このような地域の学童保育に地域に増えている外国にルーツをもつ子どもが通い、継続的な日常のかかわりの中で彼らが自分らしくいられる場へとなっていくことで、支援の持続性も、学童保育、保育所との連携による新たな展開性も生まれてくるだろうと説明しました。

 

 

続いて、愛知県豊田市を拠点に活動するNPO法人トルシーダの理事長の伊東浄江氏、理事の松田章子氏から、外国人住民の集住地域である豊田市を中心とした外国ルーツの子ども・若者の受入れの現状や、支援体制の変化、課題などについて説明がありました。1990年代後半に、学校での支援がないことや、不安定な家庭環境などで学校にも行けない子どもたちとの出会いから始まった活動だが、1990年代後半に比べれば、学校での支援も手厚くなってきており、地域でも多文化共生といわれるようになったと述べました。しかしながら、外国ルーツ子どもは「義務教育ではない」ままで、地域の外国人住民が多国籍化してきても、生活の場においては「多文化共生」が根付いていないことを指摘しました。また、家族の呼び寄せで10代の若者の来日が増加しているものの、義務教育年齢を超える若者の学ぶ場はなく、多様化している日本に暮らす外国ルーツ若者の職業観とも踏まえて、外国ルーツ若者の進路・キャリア支援体制を整えていく必要があると述べました。

 

 

質疑応答では、学童保育の仕組みの中でのまなびとの取り組みの特徴や、10代の外国ルーツ若者の来日が増えている背景、地域に暮らす外国ルーツ子ども・若者の変化に伴う学習支援のニーズの変化、国による日本語支援体制作りの地域での様子や公立学校での対応など、参加者からは変化している今の様子をとらえようとする質問が多く出されました。

最後に、まなびとの中山氏からは、地域に多様な背景の子どもが増え、彼らが自分らしくいられる場が届けられれば、外国ルーツでも、外国ルーツでなくても、自分なりの生き方が見つかりやすい未来が創られるとメッセージを述べました。トルシーダの松田氏からは、日本に暮らす若者に様々な仕事があることを知ってもらう機会がまだ限定的である中、外国ルーツ若者は来日の背景も職業観も多様化しており、地域、企業が彼らの多様性を理解し、将来に希望をつないでいくことを一緒に考えていきたいと伝えました。

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