活動報告

 

 

2019年9月6日から8日にかけて、日英21世紀委員会第36回合同会議が、英国ロンドンおよびカンタベリー・ケント大学ケインズカレッジで開催されました。

 

今回の合同会議では、「日英両国の政治・経済状況」、「貿易投資と世界経済」、「エネルギー問題:セキュリティ・持続可能性・経済」、「ロシアと中国:日英安全保障問題の将来」、「デジタル革命における政策対応」について討議が行われました。

ケント大学ケインズカレッジでの合同会議に先立ち、ロンドンにおいて英日議員連盟・在英日本大使館共催2019年ラグビーワールドカップ開催記念レセプション、ジャパン・ソサエティ及び在英日本商工会議所共催昼食会、外務連邦省主催レセプション、鶴岡公二駐英日本大使主催夕食会が開催されました。

 

本会議のステートメント(提言)、詳細プログラム及び参加者は以下のとおりです。

 

英文ステートメント

和文ステートメント

プログラム

参加者

 

【第36回合同会議討議概要】

 

Session 1:英国の政治・経済状況

英国の欧州連合(EU)離脱(ブレグジット)をめぐる状況は、7月に新たに誕生したジョンソン首相政権下の議会において政党政治の混乱をも露呈し、合意なき離脱か離脱延期かで予断を許さない状況が続く中で議論が行われました。議論の中ではブレグジットに関する議論が、英国のイメージを大いに傷つけ、欧州とアイルランドとの関係が、将来的に重要な鍵を握るなどの指摘がなされ、ブレグジットがもたらす日英間の貿易・経済への影響について幅広く議論がなされました。

 

Session 2:日本の政治・経済状況

令和時代を迎え、参議院選挙で過半数を維持した安倍政権は戦後最長期政権となり、経済成長などの短期的な要因により安定しているものの、ポピュリズムの台頭の兆しも見え、長期的な観点から、政府は経済政策と社会保障制度に関して、より説得力のある政策を打ち出す必要があることが強調されました。その流れの中で少子高齢化、地方創生、社会保障問題、外国人労働者受け入れなどの諸課題について議論が交わされました。日英間では共通の課題も多く、特に社会保障と医療の分野では、両国が先進の情報通信技術などの活用等で協力し、問題解決にむけて努力すべきとの提案がなされました。

 

Session 3:貿易投資と世界経済

貿易投資が関税・規制・統制等によって厳しく制限されていた時代から、市場開放や投資促進の時代に変貌を遂げた現在、両国は自由貿易の基本原則に従い、新たな日英経済連携協定の早期合意が重要であるとの意見で一致しました。近年の日本の貿易交渉経験が、今後の英国の他国間との貿易交渉で役立つことも提示されました。また、日英両国が国連持続可能な開発目標達成に向けて貿易政策が推進されるよう協力し、継続することの重要性、WTO改革についても討議されました。

 

Session 4:エネルギー問題:セキュリティ・持続可能性・経済

安定したエネルギー供給を確保するために、エネルギーインフラとイノベーションへの、継続的な投資が必要であり、日英両国は、技術、事業開発、市場、規制等について協議し、脱炭素化の一環として、原子力問題について両国の協力が不可欠であるとの認識を確認しました。エネルギー効率を改善する為、様々な技術の革新がなされていますが、両国間の専門知識、技術、情報交換協力の促進についても討議がなされました。また、両国が協力し、アフリカにおける非炭素エネルギー生成と供給の促進投資や、発展途上国に持続可能な成長をもたらす電力供給促進、若年世代へのエネルギー問題に関する教育強化等をすべきとの意見も提示されました。

 

Session 5:ロシアと中国:日英安全保障問題の将来

このセッションでは、日英両国が直面しているロシアおよび中国から受けている安全保障上の課題について討議しました。ロシアはウクライナをはじめとする近隣国で、より強引な行動を起こしており、長期的には、エネルギー依存度の高いロシアの国力が弱体化する可能性があるものの、当面は警戒し続けるべき対象であるとの見方で一致しました。米国の対中国政策が厳しくなるにつれて、米中覇権争いが世界中に影響を及ぼしているが、対ロシア・中国政策において日英両国が一貫した姿勢で臨むことの重要性が指摘されました。また、現在、世界的な権威主義台頭の脅威に対して、パブリック・ディプロマシー及びソフトパワーやシビル・ソサエティへの支援を通じて日英両国政府は民主主義的価値を守る為に取り組みを強化すべきとの意見が出されました。

 

Session 6:デジタル革命における政策対応

デジタル革命を受けて日本はSociety 5.0で対応していることが紹介されました。一方、英国では、国家産業政策の一環としてGrand Challengesを掲げ、AIとデジタル革命の最前線で英国の製造業を後押しし、産業界のデジタル化を通じて成長を促し雇用を創出することも目指していることが紹介されました。併せてデータの活用におけるプライバシー保護、サイバーセキュリティ、犯罪リスク等の問題についての討議が行われました。日英両国の技術発展を促進し、データ情報の共有の可能性を検討し、現在両国間でなされているさまざまな活動をより発展させていくべきとの提案がなされました。特にヘルスデータは重要でそれ以外の分野でもより一層の協力成果が期待できることが指摘されました。

 

総括セッションでは、長期的支援かつ共通価値のもと、日英両国の若年世代を対象とした、年次対話フォーラムの設立を検討すべきであり、今後、若年世代交流に関して議論を継続することで合意をみました。

 

 

メディア報道

NHKラジオ第1 10月24日(火)「マイあさ!/三宅民夫のマイあさ! 」(2019年10月1日まで視聴可能)
               高尾 潤、NHKヨーロッパ総局長出演   

               発言内容全文

               

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