活動報告
民主主義は、二つの世界大戦を経て一つの政治体制として確立し、1970年代以降民主主義国家の数は爆発的に増加しました。日本においても1946年憲法に基づく国民主権、基本的人権の尊重と自由主義経済が、その後の経済発展の礎となりました。続く東西冷戦の終結は、「歴史の終わり」として共産主義との政治体制間の争いに終止符を打ち、以後民主主義が至上の政治体制に位置付けられたかに思われました。
しかし今日に続く10年余の間に、こうした楽観的な観測は妥当でないことが判明しました。ポピュリズムが世界各地で勢いを増し、権威主義的統治手法が拡大してきています。中国やロシアなどの権威主義体制が世界での影響力の拡大をはかっています。世界的な人権監視団体フリーダムハウス(米国)が2019年2月に発表した世界の自由度を図る年次報告書「2019年世界の自由度調査」によると、民主主義国や専制体制の国を含め、世界の自由度は13年連続で低下したと指摘され、“Democracy in Retreat”(民主主義は後退している)と評価されています。
日本は、民主主義、法の支配、自由貿易体制を遵守することで戦後の発展を実現してきており、国際社会の中で民主主義を守る役割を担う責任が大きいと考えます。こうした問題意識を踏まえ、日本国際交流センター(JCIE)は、国際秩序と普遍的価値が現在どのような脅威に晒されているのかを理解し、日本としてどのような政策を展開できるのか検討する政策研究プロジェクト「民主主義の未来 -私たちの役割、日本の役割」を2018年に開始しました。本プロジェクトは、高須幸雄国連事務総長特別顧問を主査に、研究者を中心に研究会を組織し、政策に携わる政治家、内外のシンクタンク、研究者と情報、意見の交換を行っています。
これまでの活動
2022年
- 民主主義の未来:「日本の民主主義の再評価」最終報告書を発表
- 民主主義の未来:米国及びインド太平洋諸国の民主主義問題専門家を招へいするサニーランズ・イニシアティブ・リトリート開催(東京・小田原)
- オンライン国際会議 「民主主義の未来:シビルソサエティと次世代リーダーの役割」 開催
- 民主主義の未来:「日本の民主主義の再評価」第3回パネル討論「市民社会、多様性、メディア」の報告書を発表
2021年
- 民主主義の未来:「日本の民主主義の再評価」第2回パネル討論「統治機構」の報告書を発表
- 民主主義の未来:ウェビナー「Enhancing Democratic Partnership in Asia」開催と提言の発表(2021年12月)
- 民主主義の未来:「日本の民主主義の再評価」第1回パネル討論「日本の民主主義の現状」を実施しました
- オンライン懇談会「世界における民主主義・人権の危機と日本の支援」を開催 (2021年8月)
- オンライン会議「インド太平洋地域における民主的パートナーシップのためのサニーランズ原則」を開催 (2021年6月)
- 「民主主義の未来」ウェブサイトに「対談・鼎談」ページを公開(2021年1月)
2020年
- 「民主主義の未来」ウェブサイトに「文献・資料」「インタビュー」ページを公開
- 第3回 民主主義の未来 Webinar 『インド太平洋地域における民主的ガバナンス実現のための協力とパートナーシップ構築』 を開催
- 第2回 民主主義の未来 Webinar 『フィリピンに学ぶ、新型コロナ対策の民主主義への脅威』 を開催
- 第1回 民主主義の未来 Webinar -台湾とインドネシアから学ぶ、新型コロナウイルス感染症(Covid-19)と民主主義の未来 – を開催
- 「民主主義の未来」ウェブサイトに「新型コロナウイルス感染症と民主主義の未来」特設ページを開設(2020年4月)
- 「民主主義の未来」ウェブサイトを公開 (2020年4月)
- 国際会議「グローバリゼーションと民主主義の危機」を開催(2020年2月27日)(*新型コロナウイルスの影響で開催延期)
2019年
- 「日本におけるサイバー干渉・情報操作と民主主義」研究会 (2019年10月26日)
- 国会議員と研究会メンバーによる訪米ミッション (2019年9月17日-23日)
- ”Japan’s Support for Democracy Related Issues: Mapping Survey” 出版 (2019年9月)
- アンドリュー・J・ネイサン コロンビア大学政治学教授との国会議員ラウンドテーブル (2019年5月30日)
- デレク・ミッチェル 全米民主国際研究所所長とのThought Leaders セミナー (2019年4月19日)
2018年
- 米国民主主義関連団体主催公開イベントへ研究会メンバー参加 (2018年12月5日)
- カール・ガーシュマン 全米民主主義基金理事長とフランシス・フクヤマ スタンフォード大学教授とのThought Leaders セミナー (2018年6月20日)
- カール・ガーシュマン 全米民主主義基金理事長とフランシス・フクヤマ スタンフォード大学教授との国会議員ラウンドテーブル (2018年6月19日)
研究会メンバー
主査 高須 幸雄 |
国際連合事務総長特別代表(人間の安全保障担当) |
共同研究幹事 市原 麻衣子 佐橋 亮 |
一橋大学 法学研究科 教授 東京大学東洋文化研究所准教授 |
メンバー 志賀 裕朗 庄司 香 竹中 冶堅 彦谷 貴子 矢吹 公敏 |
横浜国立大学大学院国際社会科学研究院 教授 学習院大学政治学科 教授 政策研究大学院大学教授 学習院大学国際センター教授 矢吹法律事務所弁護士 |
主催 大河原 昭夫 勝又 英子 田井中 亮 近藤 慈子
加藤 和世 スティーブン・マキュー |
公益財団法人 日本国際交流センター (JCIE) 理事長 JCIE専務理事・事務局長 JCIEプログラム・オフィサー、アドミニストラティブ・オフィサー JCIEプログラム・アソシエート
米国法人日本国際交流センター(JCIE/USA)エグゼクティブ・ディレクター JCIE/USA プログラム・アソシエート |