活動報告

 人口減少が深刻化している中、日本としての外国人の受け入れをめぐる議論が活発化しつつあります。 こうした状況を踏まえ、日本国際交流センター(JCIE)では、2015年9月から10月にかけて外国人受け入れの現場となる自治体を対象に、多文化共生政策・取り組みの現状と、今後の外国人(移民)の受け入れについての認識、 体制を把握するため、2014年に続きアンケート調査を実施しました。
 
都道府県   配布数 47 回答数 27 回収率 57%
政令指定都市 配布数 20 回答数 10 回収率 50%
 
報告書および主な調査結果は以下のとおりです。
 

報告書

「多文化共生と外国人受け入れに関する自治体アンケート2015」-調査結果報告書

2015年11月27日

 

主な調査結果

(1)現行の多文化共生施策について

「外国人に対する日本語・日本文化支援」(都道府県:96.3%、政府指定都市:100%、以下、同様の順)、「多言語サービス」(100%、90%)、「外国籍子供に対する就学、教育支援」(70.4%、100%)等の支援に関する取り組みは進んでいる。それに対して「外国人住民に対する地域コミュニティ(自治体等)への参加促進」(29.6%、70%)や、「外国人住民のコミュニティの形成支援」(18.5%、60%)、といった外国人の地域参加にかかわる施策については遅れが見られる。

多文化共生政策の課題について、「外国人に対する情報提供」(88.9%、80%)や、「予算・担当人員の不足」(63%、90%)、「地域での担い手不足」(48.1%、100%)が多くあげられ、外国人住民への広報のあり方や、多文化共生政策・施策を実施するための体制が十分ではないことが伺える。

 

(2)政府の外国人受け入れの拡大について

政府が受け入れを目指す高度外国人材と留学生の定着については「具体的な施策を実施している」(40.7%、60%)が最も多かったものの、「まだ具体的な施策を行う予定はない」(33.3%、30%)という意見も3割あった。政府の外国人受け入れ拡大政策については「外国人介護人材の受け入れについて」、「国家戦略特区を活用した外国人の受け入れについて」、「建設・造船分野における外国人労働者の活用について」のいずれの質問においても、「まずは実施の動向を見て判断したい」や「わからない」との回答が多く、現時点で制度拡大について積極的に評価する意見は比較的少なかった。

 

(3)地方創生について

「外国人観光客の誘致」(88.9%、100%)、「海外への地元特産品の輸出」(77.8%、70%)に対する関心が高く、「地元企業のグローバル・ニッチ産業としての育成支援」(40.7%、30%)といった地方の独自の資源、特色を生かす取り組みが多く見られた。それに対して「外資系企業の誘致」(33.3% 、50% )や、「外国人材の受け入れ、定住への支援」(18.5%、40%)のように、海外から新たな資源を取り込む施策は相対的に少ない。地方創生において多文化共生(外国人の定住化)を考慮に入れた取り組みは限定的であると推察される。

 

(4)移民、難民の受け入れについて

 移民政策の必要性については、「分からない」(44.4%、40%)が最も多いものの、都道府県においては「移民政策は必要ではない」は0%である一方で、「日本としての移民政策を検討すべきである」(3.7%)、「慎重な検討が必要だが、今後検討する必要がある」(29.6%)との結果となり、とりわけ人口減少の厳しい自治体等において移民政策の必要性を認識する回答が見られた。また、国に外国人の受け入れに関する明確な方針の策定を求める自由意見も見られ政府の早急な対応への期待が伺える。

難民に関して、政府から難民受け入れの要請があった際の自治体の対応として、都道府県において「慎重な検討が必要だが前向きに検討したい」(11.1%)となった。受け入れ人数については「就労先や住居の問題が解決できれば想定人数は数千名」との回答が1県あった。政令指定都市においては移民、難民の双方においてわからないとの回答が目立った。

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